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09.11.04

血の通った情報とは(1)

 今回ほどマスコミのバカさ加減を実感したことはない。
 どの新聞を読んでも、どのテレビを見ても、すべて情報は完全に同じ。

 寸分たがわない情報である。とにかく同じったら同じ。ちょっとでも違う情報を得ようと思い、新聞を買いあさったところで、得られる情報は、やっぱり同じなのである。
 伊達市民の立ち入りさえ困難なほど中継車が我が物顔に市役所前を占拠していた。障害者用駐車場には、報道機関のチャーターしたタクシーが終日とまる。傍若無人とはこのことである。
 もちろん、そうやって、市民の利便性を犠牲にしてでも、貴重な情報を流しているのであれば、まあ納得のしようもあるし、障害者の駐車場を占拠することも、許せる。けれども、どう考えてみても、お粗末極まりない報道で、各社均一な画像を垂れ流し、ウスラバカな質問を被災者に浴びせているだけでは、今後の災害時に期待などできはしない。
 マスコミ報道のむなしさは、すでにこれまでに何度も何度も指摘され、批判され尽くしているが、冨田の目から改めて今回の災害報道に対するおろかさを検証してみようと思う。報道機関に属する諸君、あんたらのバカさ加減を心から反省しなさいね。

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●同じ質問  
 避難所にずかずかと入りこんで、
「大変でしたねー。今のお気持ちは不安でしょーねー」
「何か足りないものはありませんか」
「全国の人に向かって何かおっしゃりたいことは」
「避難何日目ですか」
「お仕事はどうですか」
「避難所生活に何か言いたいことは」  
そんな事しか聞けないのだ。こんな質問ばっかりされて、あるいはされているのを見せつけられている国民と言うのは、マスコミに完全にバカにされている。このような間抜けしか雇わない報道機関に未来など絶対にありはしない。
 また、ボキャブラリーの貧困さにもあきれ果てる。悲惨、悔恨、苦渋、あせり、疲労の色が濃い、将来への展望が見出せないなどなどなど。おまーら絶対にアホだろ、と、いいたくならないほうがどうかしている。

●裏を取らない取材が横行  
 通信社系に多かったのが、裏を取らない報道である。
 誰かがいったことを鵜呑みにしてはいけないと言うのは、報道の基本中の基本である。この基本中の基本さえまともに守らない報道が非常に目に付いた。
 
 噴火当日31日。
 噴火口から虻田高校に向かって火砕流が流れているのが北海道警察によって確認された!と言う第一報を流したのは通信社である。
 おかしいのだよ。噴火口のある位置は、虻田高校のある位置よりも低い位置にある。低いところから高いところには、普通火砕流は流れることはない。あるはずがない。流れるとすれば、虻田の入江地区にである。こうなると、当然死者の数は3桁以下ではありえない。現場を確認もしないで、地形図さえまともに読もうとしないからこういうデマに惑わされることになる。おまけに、北海道警察が確認したなんて、北海道警察も迷惑だったろうなあ。
 これを真に受けた(当然配信されている報道機関は真に受ける)ラジオやテレビは、その旨、臨時で流す。地元は大いに混乱したのは言うまでもない。
 虻田町は、はっきりいって避難勧告が2日遅れた。その分、直接噴火の危機にさらされたことになるのだがその話は別の機会に。
 まあ、これはまったくの誤報であった。誤報には許される範囲というのがあって、この類の誤報は、何があっても許されるべき誤報ではない。
 地元の新聞が流した誤報というか、悪質な情報もあった。これは誹謗中傷にあたる。伊達市内のある避難所でのこと。
 この避難所は、住民の自治会組織が実に良く機能していて、配膳や掃除(便所をもちろん含む)などの生活のこまごました用事をきちんとグループ当番でこなしていく体制が整っていた。避難後わずか2日目でこのような自治組織が出来上がった。個人の不足している日用品についても、細かく班長さんらが要望を聞いて、伊達市当局などと緊密に連携をとって過不足のない体制が組まれていた。
 ここに、よそからやってきたボランティアが勝手に入りこんで、「必要なものアンケート」「ご要望アンケート」を配り始めた。
 当然市の職員は、「あなたたち、勝手なことはやめてください。被災者が自発的に自治組織を作っています。必要な時には連絡しますからお引き取りください」 と、ボランティアに発言した。きわめて冷静かつ的確な対応である。何らの問題もないことは、いまさらいうまでもない。
 ところが何を思ったのかこのバカボランティア、新聞に告げ口をした。新聞もバカだからこれを真に受けて、担当の職員に確認も取材もせずに、「伊達市職員、ボランティア不用と叫ぶ」的な記事が翌日朝刊社会面にでかでかと掲載された。当然伊達市所職員は、厳重に抗議したが、新聞社は取り合わなかったという。こうなるとこれはもう暴力以外の何物でもない。
 この手の誤報や、思いこみ取材にはことかかない。

2000年5月4日

掲載の写真:伊達市役所前駐車場を埋め尽くす報道車

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tomitan1.jpg2000年3月31日、有珠山が噴火しました。有珠山噴火災害に関して、過去のどの災害とも大きく異なっている点がありました。それは、本格的な「インターネットによる全国的な情報ボランティアネットワーク」の誕生。「被災地からの、市民の、市民による、市民のための情報発信」というこれまでに無かった活動を、インターネットを通じて日本全国から集まった有志達が、陰ながら支えるという重要な役割を果たしています。そのため、今後の災害時の市民情報発信の在り方を考える上でも非常に重みのある活動となっているのです。これは、この「有珠山ネット

」の立ち上げに深く関わり、自ら「隊長」として代表を務める冨田きよむ氏によるコラムです。

※この記事は、2000~2004年頃の「rescuenow.net」に掲載されたものを再掲載したものであり、筆者の所属や登場する団体名等は、このコラムの執筆当時のものです。

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