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【調査】防災備蓄は3日分を備えるべきか?根拠と事例紹介

企業の防災活動として初めに行うことの一つが「防災備蓄」ではないでしょうか。

一般的に防災備蓄は3日分を備えると言われますが、その理由をご存じですか?

また、実情として3日分を備えるのが難しい…と悩んでいる防災担当者からのご相談もよくあります。

この記事では、防災備蓄を3日分を備えるべきと言われている理由と、企業における備蓄状況の実態調査・事例を紹介します。

▼多くの防災担当者が直面する「備蓄の課題」と「解決策」を事例で解説

この記事の目次[非表示]

  1. 1.なぜ防災備蓄を3日分備えるべきなのか?
  2. 2.実際は何日分備蓄しているのか?調査結果公開
  3. 3.3日分の備蓄品の内訳は?(水・トイレ・非常食など)
  4. 4.3日分備蓄の課題
    1. 4.1. 1.在宅勤務や終日外出している従業員の人数を考慮する
    2. 4.2. 2.3日間の人数減を考慮する
  5. 5.1日目はセット品が手間がかからず便利
  6. 6.まとめ

なぜ防災備蓄を3日分備えるべきなのか?

一般的に「防災備蓄は3日分備えるべき」と言われますが、それはなぜでしょうか?理由は、条例で3日間の備蓄が努力義務として定められているからです。

平成25年4月施行の東京都帰宅困難者対策条例では以下のように定められています。

事業者は、前項に規定する従業者の施設内での待機を維持するために、知事が別に定めるところにより、従業者の三日分の飲料水、食糧その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めなければならない。
(引用:東京都帰宅困難者対策条例 第二章 第七条 2(平成25年4月施行 ))

また、関西広域帰宅困難者対策ガイドラインでは次のように記載されています。

2.平常時の取組 (1)企業等における施設内待機等

発災後3日間程度は、救命救助活動を優先させる必要があり、従業員等の一斉帰宅により救命救助活動の妨げとならないようにするため、発災後3日間は企業等が従業員等を施設内に待機させる必要がある。

(引用:関西広域帰宅困難者対策ガイドライン 第2章2(令和元年9月6日) )

3日分と明確に定められていない自治体もありますが、目安としてこれらの条例やガイドラインを参考にされる企業が多くあります。

なお、この発災後3日間(72時間)は人命救助のタイムリミットとされています。

一般的に人間が飲まず食わずに生存できる時間の限界が72時間と言われます。その根拠とされる阪神・淡路大震災では、倒壊家屋などから救助された人の生存率が1日目は74.9%でしたが、72時間を過ぎた4日目においては5.4%に下がっています。

(図:国土交通省 近畿地方整備局「阪神・淡路大震災の経験に学ぶ」第1章 死者を減らすために より作成)

「阪神・淡路大震災の経験に学ぶ」にあるように、救助活動に向かう車両は消防・警察・自衛隊だけでなく、救助用の重機運搬に向かった車両も渋滞に巻き込まれたために現場到着が遅れ、救出資機材が足りず助けられなかったということも起こり得ます。

 そのため発災後72時間は救出・救助活動が最優先に行なわれ、ライフライン復旧等はその後にならざるを得ません。せめてその3日間は自分たちで何とか過ごせるように備えておいてくださいね、というのが「3日分の防災備蓄をする」真意となります。

さらに、勤務時間中に災害が発生した場合には、大量の帰宅困難者によって街中が混乱し救助活動の妨げや二次災害が発生しないよう、事業者が3日分の備蓄を備えることが必要なのです。

実際は何日分備蓄しているのか?調査結果公開

では実際に防災備蓄品を3日分備えている企業はどのくらいあるのでしょうか?最近ではリモートワークを実施しているため何人分の備蓄をするべきなのか悩んでいる、というお声もよく聞きます。

そこで、レスキューナウでは企業の防災担当者様へ「何日分の防災備蓄をしているか」アンケート調査いたしました。

84名のご回答のうち、「全従業員数×3日分を備蓄している」のが23名で27%、「出社想定人数×3日分を備蓄している」のが37名で44%となりました。

つまり全体の70%以上の企業が「3日分を備蓄」していることが分かりました。

反対に「全く防災備蓄をしていない」回答はわずか3名(4%)しかありませんでした。

防災備蓄をどのくらい備えるべきか…と悩んでいる防災担当者の方は、ぜひ3日分備えることをご検討ください。

3日分の備蓄品の内訳は?(水・トイレ・非常食など)

一口に防災備蓄品といっても様々な品目があります。真っ先に思い浮かぶのは食料・水、次いでトイレや毛布ではないでしょうか?

実際、レスキューナウへご相談いただく中でも食料・水についてのご相談が特に多くあります。

アンケートの結果は以下のようになりました。

「食料・水を備蓄している」のは74名で88%、「トイレ、毛布を備蓄している」のは63名で75%。ほとんどの企業で食料、水、トイレ、毛布を備蓄しているという結果となりました。

これは、ほとんどの企業が前掲したように帰宅困難者を3日間社内待機させることを想定し防災備蓄されている、と読み取れます。

 
レスキューナウでは、特に簡易トイレの備蓄を最優先で導入されることをお勧めしております。トイレは我慢することが難しく、過去の災害でも健康面や衛生面から大きな課題になりました。

▼レスキューナウ 防災備蓄品カタログはこちら

また、「上記以外の防災備蓄品も備えている」の回答は57名(68%)あり、救急や衛生用品、ヘルメット、工具などが該当すると考えられます。それらの品目についてはこちらの記事で解説しています。

※この結果は防災備蓄品のウェビナーに参加されるような防災意識の高い企業の担当者様を中心とした回答で構成されており、他のアンケート結果と傾向が異なる可能性があることをご留意ください。

3日分備蓄の課題

とはいえ、3日分の防災備蓄品を備えることは容易ではありません。オフィスによってはスペースが不足していたり費用の課題もあります。

そんな時は、自社の勤務体制などから適正化することも選択肢のひとつです。

 1.在宅勤務や終日外出している従業員の人数を考慮する

例えば正社員や派遣社員含めてオフィス内の最大人数が100名で在宅勤務等を取り入れている場合、平均のオフィス在室率を上限として備蓄数量を調整する方法です。

出社率がおおむね80人上限の場合、その人数設定で備蓄することも現実的な対応かと考えています。また、終日営業先などに出向いていてほとんどオフィスにいない場合も調整の対象にできるかもしれません。

さらに、防災備蓄品のリストを作るとより管理がしやすくなるでしょう。

 2.3日間の人数減を考慮する

東京都帰宅困難者対策ハンドブック では、3日間待機を基本としつつ道路等の安全が確保され二次災害の恐れが無いような場合には、安全を確認のうえ帰宅することは可能とされています。

道路の安全等が確保され二次災害のおそれがないような場合には、3日を待たずして帰宅行動を取ることは可能です。
(引用:東京都帰宅困難者対策ハンドブック

(注:3日間を待たずしての帰宅を推奨するものではありません)

従業員の自宅がかなり近い場所にあったり、どうしても家庭の事情等で帰宅しなければならない人数を考慮し、多少の数量調整を検討される選択肢もあるかもしれません。

1日目はセット品が手間がかからず便利

発災直後は従業員の安否確認、各事業所や取引先の被害や影響確認、世の中の災害・避難情報の収集、これらを取りまとめて災害対策本部へ報告…など対応すべき事項が多く、大変慌ただしくなります。

防災備蓄品を倉庫から搬出し、徒歩帰宅または社内待機・宿泊する従業員一人ひとりに各品目を配布する余裕がないということはよくあります。

そんな時、3日分備蓄のうち1日目分を「1人用の防災セット」に置き換えることで、最も慌ただしい発災1日目の配布の手間を削減しつつ、残り2~3日目分はよくある箱積み備蓄とすることで手間と費用をバランスよく削減することができます。

レスキューナウではこれを「ハイブリッド備蓄」と呼んでお客様にお勧めしています。

※ハイブリット備蓄の例はこちら

レスキューナウのオリジナル商品「ユニット1Dayレスキュー」は1人1日分の防災備蓄品がセットになっており、忙しい発災当日でも手間をかけず防災備蓄品を配布することができます。

A4サイズのため、予め各自に配布してデスク等にしまっておき、発災時には従業員各自で使用してもらうことも可能です。

最も慌ただしい発災当日の備蓄品配布の手間を削減できるおかげで、リソースをその他の災害対応に振り分けることができます

発災1日目の防災備蓄品を配布する手間を削減できる「ユニット1Dayレスキュー」の詳細はこちらをご覧ください。

公式オンラインショップでは1個からご注文いただけます。

「ユニット1Dayレスキュー」や防災備蓄品についてのご質問、ご相談は下記お問い合わせフォームにて承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

企業の防災備蓄品の備蓄日数と品目についておさらいです。

  • 企業の防災備蓄は3日分を備えることが望ましい
  • 88%の企業が食料・水を備えている
  • 75%の企業がトイレ・毛布を備えている
  • 68%の企業が上記以外の防災備蓄品も備えている
  • 発災1日目の分はセットになっていると手間が削減できる

貴社の状況と比較していただきながら、ぜひ今後の備蓄のご参考にしていただけますと幸いです。

▼多くの防災担当者が直面する「備蓄の課題」と「解決策」を事例で解説

編集:株式会社レスキューナウ
編集:株式会社レスキューナウ
2000年設立の危機管理専門企業。1995年の阪神・淡路大震災を原点に、「最新の情報技術を駆使して、危機に対する迅速な救援と復旧、復興と予防に貢献する」をミッションに掲げた事業を展開している。自然災害から交通障害まで「予定されていた行動が妨げられること」を“危機”と定義し、法人向けに、危機管理情報を配信する「コンテンツ事業」、災害時の状況把握などを支援するサービスを中心とした「危機管理サービス事業」、防災備蓄品を提案・販売する「防災備蓄品事業」の3つを事業の柱としている。

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