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新たな津波の伝達手段「津波フラッグ」

■この記事の情報は、2020年7月3日現在の情報です。

この記事の目次[非表示]

  1. 1.そもそも津波警報とは?
  2. 2.津波フラッグはどのようなもの?
  3. 3.なぜ津波フラッグなのか?
  4. 4.「津波フラッグ」はいつ、どのように使われる?
  5. 5.要注意! 津波が発生しても、津波フラッグが使われない場合がある
  6. 6.津波を早く確実に知ることの大切さ

こんにちは。 レスキューナウ ブログ担当です。

7月に入りました。 7月といえば夏、夏と言えば海。 新型コロナウイルス感染症の対策で、今年は開設しない海水浴場が多いと見られますが、とはいえ夏になれば海辺へ遊びに行く方も多いのでは?

今回は、この2020年6月24日から運用が始まった、海水浴場などで使われる新たな津波に関する注意報・警報の伝達手段「津波フラッグ」についてまとめました。

そもそも津波警報とは?

気象庁では、地震が発生し、沿岸で津波の発生すると予測された場合に、「津波注意報」「津波警報」「大津波警報」が発表されます。 もちろん、この3種類の注意報・警報は、津波の高さなど規模に応じて発表されます。

なお、この記事中で「津波警報など」と書かれている場合には、上記の3種類をすべて含むもの、考えてください。 (気象庁の文書でもそのような表現が用いられています)

回数は多くはないものの、ほぼ毎年どこかで津波警報などが発表されています。 海の近くにお住まいの方や海へ遊びに行く方はもちろん、海の近くにオフィスがある、事業所があるという会社なども、津波に対する備えが必要です。

その上で、今回始まる「津波フラッグ」の存在を頭の片隅に置いていただきたいとブログ担当は考えます。


津波フラッグはどのようなもの?

津波フラッグは、「赤と白の格子模様」と定められていて、短辺100cm以上が推奨されています。 旗の様子を言葉で説明しても分かりにくいので、下の画像を見てください。

この旗、見覚えがある、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。 もともとは海上で船舶間の通信に使われる「国際信号旗」の一つで、「U旗」と呼ばれるものです。 国際信号旗としてのU旗は、「あなたは危険に向かっている」と相手の船に伝える意味があります。


気象庁「津波フラッグ」(https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/tsunami_bosai/tsunami_bosai_p2.html)より引用

なぜ津波フラッグなのか?

これまで、津波警報などが発表されるとテレビやラジオ、防災無線、サイレン、メールなどでの伝達が行われてきました。 目で見て、音で聞いて、伝わるよう様々な伝達手段が用いられています。

ただ、それも陸上で日常的な生活をしている場合です。 海水浴場で海に入って遊ぶ時を思い浮かべると、スマートフォンを置いている場合も多いのではないでしょうか?

防災無線やサイレンなどは聞き取れますが、目で見てとなると、陸上よりも難しい状況です。 まして海水浴場は、津波が押し寄せる海岸そのもので、もっとも素早い避難が求められる場所です。

また、聴覚障害者の方へ、確実に伝えるためにも、目で見て分かる方法が求められていました。
こうした状況で、一部の自治体で取り組まれていた旗で伝える手法を、全国的に統一された取り決めでのもとで行おうとするのが、「津波フラッグ」です。

「津波フラッグ」はいつ、どのように使われる?

津波注意報、津波警報、大津波警報が発表された際に、海水浴場で掲げる、振る、あるいは津波避難タワーやビルなど海岸から見える建物にぶら下げるなどで、発表を知らせます。 もちろん、これまで行われてきたテレビやラジオ、防災無線、サイレン、メールなどの伝達の手段もこれまで使われます。

津波フラッグは、何かに替わる手段ではなく、従来の手段に新たに付け加えられる手段です。 この旗を見たら、速やかに避難を開始してください。 当然ですが、津波フラッグ以外の手段で知った場合も、速やかに避難してください。



※2022年1月15日13時頃、トンガ諸島付近のフンガ・トンガ-フンガ・ハアパイ火山の大規模噴火に伴う潮位変化によって、1月16日に日本各地で津波警報、津波注意報が発表された際の新江ノ島水族館の様子。このように掲出される場合もあります。



気象庁「地震だ、津波だ、すぐ避難!」(https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/tsunami_bosai/img/leaflet_tsunami_bosai.pdf)より引用

避難せよ、と言われて即どこへ逃げれば良いのか分からない場合もあるでしょうから、事前に津波からの避難場所を把握しておきたいですね。 旅館やホテルで部屋に着いたら、非常口を確認する感覚です。

要注意! 津波が発生しても、津波フラッグが使われない場合がある

さて、津波が発生しても、津波フラッグが使われない場合もあります。
気象庁では、

  • 地震が発生した場所によって、津波が時間的猶予なく海岸に来襲する可能性がある
  • ライフセーバーなど津波フラッグを掲げる人が、このまま掲げ続けると避難できなくなる
  • 冬季や夜間など、海水浴場等の利用が想定されない時季や旗の視認が困難な時間帯(ライフセーバー等が海水浴場等に配置されていない)

以上の場合に、津波フラッグの掲出を行わない場合がある、としています。

ただし、すぐに津波が来襲する場合でも、津波避難タワーからのぶら下げるなど、津波フラッグを掲出する人が安全ならば、掲出されます。 あくまでも、まずは避難して安全を確保することが最優先で、少しでも時間的な猶予があった場合に掲げる、という考え方でしょう。


気象庁は、地震発生後、津波が予想される場合に、地震発生から2~3分で津波警報などを発表する、としています。 しかし地震が発生した場所によっては、津波警報などが発表される前に、津波が海岸を襲う場合もあります。

(「津波フラッグを振り続けるなど伝達を継続した結果、伝達の実施者の避難が遅れることはあってはならない」と、気象庁も資料に明記しています)


また、津波警報などの切り替えや解除の場合も、津波フラッグによる伝達は行われません。 津波注意報から津波警報、津波警報から大津波警報へ引き上げられる場合、注意が必要です。

津波を早く確実に知ることの大切さ

こうして見ると津波フラッグは、海水浴場という多くの人が集まり、素早い避難が求められるものの、津波の発生を伝える手段が限られている場合に特化して生み出された伝達手段であると分かります。

しかし、海水浴場以外の場所であっても、津波の発生を素早く確実知る必要性があることに変わりはありません。 少しでも早く津波発生の可能性を知り、避難するなどの対処が求められます。


また同時に、揺れを感じなかった場合でも、津波が発生する場合もあります。 近年ですと、2015年9月17日 07時54分(日本時間)に発生したチリ中部沿岸の地震では、日付が変わった夜中の18日03:00に気象庁が津波注意報を発表し、06:00過ぎから津波が各地に到達、午後まで断続的に来襲し、最大で78cmの津波が観測されました。

速さと同時に、確実に津波発生を知ることも必要です。 津波フラッグが海水浴場で用いられるように、それぞれの場所でそれぞれの状況に最も適した津波を知る手段を考えておきたいものです。


参考文献
津波から身を守るために (https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/tsunami_bosai/index.html)
地震だ、津波だ、すぐ避難!(https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/tsunami_bosai/img/leaflet_tsunami_bosai.pdf)
「津波フラッグ」による津波警報等の伝達に関するガイドライン(概要) (https://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/tsunami_bosai/img/overview_tsunami_flag.pdf)