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労働安全衛生規則の一部改正、備えるべき救急用具は?

こんにちは!レスキューナウ ブログ担当です。

労働安全衛生規則が約50年ぶりに一部改正および運用が見直されました。

働き方改革のひとつとして令和2年に検討会スタートし、令和3年12月1日に公布、同日から施行されています。労働安全衛生規則は昭和47年に制定されましたが、当時と今とでは労働環境も技術も大きく変化し、働きやすい安全な環境をつくっていくという観点から検討されました。

ここでは、今回の労働安全衛生規則(以下、安衛則)の一部改正の中から「救急用具(旧第634条関係)」についてレスキューナウの見解を述べたいと思います。

事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について
検討会議事録

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この記事の目次[非表示]

  1. 1.変更点:一律ではなく適材適所の備えを
    1. 1.1.<改正前の内容>
  2. 2.適材適所の救急用具とは
  3. 3.備えただけでは使えない(最重要)

変更点:一律ではなく適材適所の備えを

安衛則の「救急用具(旧第634条関係)」の一部改正について、このように記述されています。

第1 改正省令の趣旨及び概要等

2 改正省令の概要

(2)安衛則の一部改正(改正省令第3条関係)

イ 救急用具(旧第634条関係)

事業者が少なくとも備えなければならない救急用具の品目について定めている規定を削除することとしたこと。

第2 細部事項

1 改正省令関係

(2)安衛則の一部改正(改正省令第3条関係)

改正安衛則の各条文に係る趣旨、解釈等は以下のとおりであること。

イ 救急用具の内容(旧第634条関係)

 安衛則第633条において、事業者に対して備えることを義務づけている「負傷者の手当に必要な救急用具及び材料」ついて、事業場において労働災害等により労働者が負傷し、又は疾病に罹患した場合には、速やかに医療機関に搬送することが基本であること、及び事業場ごとに負傷や疾病の発生状況が異なることから、事業場に一律に備えなければならない品目についての規定は削除すること。ただし、負傷等の状況や事業場が置かれた環境によっては、事業場において負傷者の応急手当を行う場合もあるため、リスクアセスメントの結果や、安全管理者や衛生管理者、産業医等の意見、衛生委員会等での調査審議、検討等の結果等を踏まえ、事業場において発生することが想定される労働災害等に応じ、応急手当に必要なものを備え付けること。この場合、マスクやビニール手袋、手指洗浄薬等、負傷者などの手当の際の感染防止に必要な用具及び材料も併せて備え付けておくことが望ましいこと。

なお、事業場において労働災害等が発生した際に、速やかに医療機関へ搬送するのか、事業場において手当を行うのかの判断基準、救急用具の備付け場所・使用方法等をまとめた対応要領を事業場においてあらかじめ定めておくことが望ましいこと。

レスキューナウの注目ポイントは、『事業場ごとに負傷や疾病の発生状況が異なることから、事業場に一律に備えなければならない品目についての規定は削除する』というところです。

改正前の内容は、当時と今とでは傷病者への救急対応の常識が異なり、現在は推奨していない救急用具が含まれ、それらが全ての事業所に対し一律に備えるよう定められていました(反対に今の時代だからこそ必要なものが含まれていなかったりします)。そのため、今回の改正でこれら救急用具の内容についての規定が削除されました。

<改正前の内容>

(救急用具)

第六百三十三条 事業者は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない。

2 事業者は、前項の救急用具並びに材料を常時清潔に保たなければならない。

(救急用具の内容)

第六百三十四条 事業者は、前条第一項の救急用具及び材料として、少なくとも、次の品目を備えなければならない。

 一 ほう帯材料、ピンセツト及び消毒薬

 二 高熱物体を取り扱う作業場その他火傷のおそれのある作業場については、火傷薬

 三 重傷者を生ずるおそれのある作業場については、止血帯、副木、担架等

ここで注意したいのが、あくまで「一律に備えなければならない」品目についての規定が削除されたということです。改正内容では『事業場において発生することが想定される労働災害等に応じ、応急手当に必要なものを備え付けること。』と続いています。

規則で定められた用具を一律に備える必要はないとされています。ただし、各事業所に適した用具は必ず備え付けておきましょう。

適材適所の救急用具とは

では各事業所に適した救急用具とは、具体的に何を備えればよいでしょうか?

改正により救急用具を備える判断が事業者に委ねられたわけですが、救急用具の備えが推奨されていることに変わりはありません。改正前に定められていた包帯、ピンセット、消毒薬、副木、担架等は今後も備えておくことをおすすめします。

また、

この場合、マスクやビニール手袋、手指洗浄薬等、負傷者などの手当の際の感染防止に必要な用具及び材料も併せて備え付けておくことが望ましいこと。

こちらの1文にもあるように、止血時の血液からの感染予防や現在のコロナ禍を鑑みて、感染防止対策となる用具も備えられるといいでしょう。

レスキューナウ推奨の救急用具

応急手当
包帯(三角巾)、滅菌ガーゼ、ピンセット、消毒薬、テープ、はさみ、副子(添え木)、担架
感染予防

ビニール手袋、マスク、手指消毒剤、ウェットティッシュ

使用推奨
火傷薬、止血帯

レスキューナウでは衛生用品や防災備蓄品の選定について相談窓口を開設しています。現在の備えで十分か、自社に必要なもの・不要なものは何かなど、当社スタッフが回答いたします。

▼防災備蓄品の選定に関する無料の相談窓口はこちら

▼防災・BCPのプロが選定した防災用品カタログはこちら

また、改正前に定められていた火傷薬や止血帯は、現在は使用を推奨されていません。火傷には医師の診察を受けるまで何も塗らないことを推奨されています。また、止血帯による止血方法は市民が実施するのは難しく、傷口をしっかり押さえる「直接圧迫止血法」のみ推奨されています。

東京消防庁 電子学習室で外傷の応急手当などについて学ぶことができます。ぜひこういったコンテンツもご利用ください。

備えただけでは使えない(最重要)

衛生用品や救急用具を備えたら、それらを誰でもすぐに使えるようにしておく必要があります。

改正後の内容には

なお、事業場において労働災害等が発生した際に、速やかに医療機関へ搬送するのか、事業場において手当を行うのかの判断基準、救急用具の備付け場所・使用方法等をまとめた対応要領を事業場においてあらかじめ定めておくことが望ましいこと。

とあります。

レスキューナウとしてはこの1文が特に重要だと考えています。いざ応急手当が必要な場面に遭遇した時、冷静な対応をするのは案外難しいものです。

  • 救急用具の備え付け場所を記載した社内MAPや使用方法の掲示
  • 事業所で行える応急手当の周知
  • 応急手当の定期的な訓練
  • 医療機関への搬送方法や判断基準を社内で定める

といった事前対策をしておき、いつでも確認できる状態にしておくなどお勧めします。

▼ 無料ダウンロード:『他社はどうしているの? 防災備蓄の困りごと事例集』

<参考>

・事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について(https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T211201K0020.pdf
・検討会議事録(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_13194.html
・東京消防庁 電子学習室(https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/learning/contents/mokuji.html

編集:株式会社レスキューナウ
編集:株式会社レスキューナウ
2000年設立の危機管理専門企業。1995年の阪神・淡路大震災を原点に、「最新の情報技術を駆使して、危機に対する迅速な救援と復旧、復興と予防に貢献する」をミッションに掲げた事業を展開している。自然災害から交通障害まで「予定されていた行動が妨げられること」を“危機”と定義し、法人向けに、危機管理情報を配信する「コンテンツ事業」、災害時の状況把握などを支援するサービスを中心とした「危機管理サービス事業」、防災備蓄品を提案・販売する「防災備蓄品事業」の3つを事業の柱としている。

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