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発火したリチウムイオン電池の煙は猛毒?


この記事の目次[非表示]

  1. 1.リチウムイオン電池とは
  2. 2.リチウムイオン電池の普及
  3. 3.リチウムイオン電池の危険性
  4. 4.各自が安全のために出来ること
  5. 5.リチウムイオン電池の発火は大規模化しやすい?
  6. 6.EV車による火災事故
    1. 6.1.2021年 米 ヒューストン
    2. 6.2.2021年 蘭 フローニンゲン
    3. 6.3.2022年 仏 パリ
  7. 7.リチウムイオン電池の発火で有毒ガスが発生?
  8. 8.防毒・防煙マスクを備蓄する企業が増加中
  9. 9.オススメの防毒・防煙マスクは?​​​​​​
  10. 10.最後に

リチウムイオン電池とは

リチウムイオン電池とは、リチウムイオンが電極の間を行ったり来たりして放電と充電を行う電池です。従来の電池が有するデメリットを解消できる存在として高く評価されています。

〈リチウムイオン電池の特長〉

  • 小さくて軽い
  • 急速充電性能が高い
  • 繰り返し充電してもバッテリーの寿命に影響が出にくい


リチウムイオン電池の普及

近年、あらゆる製品において軽量化・コンパクト化や、充電時間の短縮が求められています。そのため、リチウムイオン電池が大変重宝されており、あらゆる製品に活用されています。

〈リチウムイオン電池が活用されている主な製品〉

  • 電気自動車、電動バイク、電動自転車などのモビリティ
  • 通信基地局やデータセンターにおける非常用バッテリー
  • 電動フォークリフトや電動カート
  • 再生可能エネルギーの発電設備
  • PCやスマートフォン等の電子機器
  • 蓄電池、モバイルバッテリー
  • ドローン


リチウムイオン電池の危険性

リチウムイオン電池が普及する中で話題になっているのが、発火現象です。一時期、リチウムイオン電池を内蔵したスマートフォンやモバイルバッテリーが突然熱を持ち始めて発火する事故などが話題になりました。

リチウムイオン電池が発火する原因はいくつかありますが、一番恐ろしいのが「内部短絡」という現象です。「内部短絡」とは、外部から力が加わり電池が変形することで、正極と負極を隔てるセパレーターが損傷し、正極と負極が直接つながってしまう状態です。この状態になると電流が集中し、温度が急激に上昇することで、発火することがあります。



図)東京消防庁「令和4年版 火災の実態」を基にレスキューナウが作成


各自が安全のために出来ること

独立行政法人 国民生活センターが注意喚起している消費者へのアドバイスは下記の通りです。

  • 充電端子が熱くなったり、異臭がするなど異常を感じた場合は直ちに使用を中止する
  • リチウムイオン電池に膨張がみられたら使用を控え、交換または適切に廃棄する
  • 接続する端末の仕様に応じて適切な充電器を使う
  • 使用中や充電中は発熱することを認識し、放熱が妨げられる環境下では使用しない
  • 製造・販売元や型式が明示されていない商品や、仕様が不明確な商品を購入しない

安価な製品を求めてPSEマークのない商品を購入したり、古くなったバッテリーを使用し続けることは避けましょう。また、充電時に発火する事例も多いため、充電器等は端末購入時に付属しているメーカー指定の物を使用することをオススメします。


リチウムイオン電池の発火は大規模化しやすい?

「燃焼」は、①可燃物、②酸素、③温度の3要素によって引き起こされます。そのため、「可燃物を取り除く(除去消火)」、「酸素を断つ(窒息消火)」、「温度を下げる(冷却消火)」が消化の3原則と言われています。例えば、火災発生時に消防車から放水するのは「冷却消火」、消火器を噴射するのは「窒息消火」のためです。

通常は、可燃物・酸素・温度のうち、何かひとつを取り除けば消火できると言われています。しかし、リチウムイオン電池が発火した場合、一度消火しても内部で燃焼反応が継続しているため、再び出火や爆発が起こる可能性があります。

万が一発火してしまった場合は、火花が飛び散っている間は近付かず、火花が収まってから消火器や大量の水で消化するよう東京消防庁が呼びかけています。

また、EV車などに搭載されている大型のリチウムイオン電池が発火した場合は、無理に消火することは非常に危険なため、速やかに通報・避難を実施してください。また、通報の段階でわかっていれば「バッテリーからの出火」と伝えましょう。


EV車による火災事故

二酸化炭素の排出量を抑制するため、欧米でガソリン車・ディーゼル車の販売が禁止されたことにより、世界的にEV車の普及が進んでいます。

EV車の普及に伴い、衝突事故などを原因としたEV車の炎上が世界各地で報告されています。EV車が炎上した場合、​​​​​一度鎮火してもバッテリーの発熱により再燃してしまうため、事故処理の難しさが指摘されています。

2021年 米 ヒューストン

EV車が木に衝突して炎上し、二人が死亡しました。通報から11分後に消防隊が到着し、放水活動を開始。約3分後、一度鎮火が確認されているが、バッテリーが再燃。車体を吊り上げ、バッテリーがある車両の底面に直接放水したことで鎮火しました。

この消火活動で使用された水の量は、10万リットル以上と報告されています。山火事消火用の世界最大級の消防用航空機が運べる最大水量が約7.5万リットルのため、それ以上の量が1台の車両のために使われたことになります。

2021年 蘭 フローニンゲン

EV車の充電を終えて充電ソケットを車両から抜いた瞬間に、搭載されているリチウムイオン電池から発火し、消防隊が駆けつける前に自動車は全焼しました。

2022年 仏 パリ

パリを運行している電気バスで1か月に3件の炎上事故が発生しました。バッテリーが配置されているバスのルーフ部分で小さな爆発が発生し、その数秒後には猛スピードで巨大な炎が吹き上がっています。


リチウムイオン電池の発火で有毒ガスが発生?

リチウムイオン電池が発火した場合、水素、二酸化炭素、エタンやメタン等の炭化水素系に加えて、微量のフッ化水素や一酸化炭素が放出されます。フッ化水素や一酸化炭素は有害物質であり、吸い込むことで死に至ることもあります。さらに、フッ化水素が空気中の水分と反応してフッ化水素酸(フッ酸)に変化した場合、皮膚に接触しただけで体内に浸透し、人体に害を与えます。

ただ、スマートフォンやモバイルバッテリー等の小さい端末が発火した程度では、発生するフッ化水素や一酸化炭素は微量のため、人体に大きな影響を与える可能性は低いと考えられています。

しかし、万が一密閉された空間で発火した場合や、多量もしくは大型のリチウムイオン電池が発火した場合などは、死に至るケースも考えられます。


防毒・防煙マスクを備蓄する企業が増加中

リチウムイオン電池を搭載した製品を製造している工場や、リチウムイオン電池の回収・保管・廃棄などを行う施設において死亡事故などが発生しています。そのため、これらの業界において防毒・防煙マスクを備蓄する企業が増えてきています。

また、大型蓄電システムを所有する施設・建物に入っている企業などにおいても自衛消防隊のために購入する例が多数ございます。特に避難誘導に時間を要する介護事業や医療施設などでは、防毒・防煙マスクを備蓄する例が多くなっています。


オススメの防毒・防煙マスクは?​​​​​​

国内で販売されている防毒・防煙マスクのうち、最も公称使用時間が長い商品は、「スモークブロック」です。

一酸化炭素、シアン化水素、塩化水素、ホルムアルデヒド、二酸化窒素、アンモニア、ベンゼン、硫化水素、二酸化硫黄、アクロレイン、フッ化水素などの様々な有毒ガスを除毒・除去できるため、あらゆる火災に対応しています。

また、一般財団法人日本消防設備安全センターによる試験に合格した評定合格品です。さらに、商品の製造ロット内における全品検査(母数検定による抜き取り検査)も実施しており、信頼度の高い製品となっています。

なお、防毒・防煙マスクは命に関わる製品のため、製品を選ぶ際は評定合格品であるか確認してから購入することを強くオススメします。

商品の詳細:https://catalog.rescuenow.co.jp/selection/newest/#target/page_no=36


最後に

リチウムイオン電池は、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、リン酸鉄リチウムなど様々な種類があります。より熱安定性が高い正極材が開発されており、内部短絡が起きた場合にも発火する可能性が低くなってきています。

基本的には安全な製品であり、変形するほどの大きな衝撃を加えたりしない限り、発火する可能性はほとんどありません。しかし、EV車が交通事故を起こした場合や、製造工場内の事故などは大規模な火災になることも想定されます。

企業においては、万が一に備えて消火訓練や避難訓練の実施、防毒・防煙マスクや消火器の備蓄などが必要になってきます。​​​​​もしも自社だけで対策を考えていく中で不安になることがあれば、下記窓口よりお気軽にご相談ください。

  防災・BCP課題相談窓口 貴社の課題感をお伺いし、最適なサービス・事例などをご案内します。課題解決に繋がる情報をお探しのお客様は、お気軽にご相談ください。 株式会社レスキューナウ


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