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相次ぐ大規模山林火災の被害からリスクと対策を考える


こんにちは、レスキューナウです。

2025年は1月から、大規模な山林火災が国内外問わず相次いで発生し、ニュースとなっています。

こうした大規模な山林火災はいかなる理由で起きるのでしょうか。そして、山林火災は私たちの生活や企業活動にどのような影響を与えるリスクがあり、被害の防止に向けてどのような心がけが必要なのでしょうか。直近の大規模な山林火災の被害や原因を見ながら考えていきます。

▼ 山林火災のリスク、自社拠点やサプライチェーンは万全ですか?

この記事の目次[非表示]

  1. 1.国内で発生した大規模な山林火災の被害(2025年1月~3月)
  2. 2.海外で発生した大規模な山林火災(2025年1月~3月)
  3. 3.山林火災の発生傾向
  4. 4.国内における山林火災の原因
  5. 5.山林火災によるリスク
    1. 5.1.建築物への延焼
    2. 5.2.ライフラインへの影響
    3. 5.3.その他の影響
  6. 6.山林火災を防ぐには基本的な行動から
  7. 7.企業が考えておきたい山林火災の影響

国内で発生した大規模な山林火災の被害(2025年1月~3月)


2025年1月から3月末までに、10ヘクタール以上の山林火災が9件発生しました。特に大規模な山林火災(焼損面積100ヘクタール以上)の被害状況をまとめると、以下のようになります。

覚知日

発生場所

焼損面積

人的被害

物的被害

避難指示発令

2月19日
岩手県大船渡市
約324ヘクタール
なし
なし
あり
2月26日
岩手県大船渡市

約2900ヘクタール(推定)

死者1名

住家102棟焼損
住家以外108棟焼損

あり
2月26日
山梨県大月市
約150ヘクタール
なし

住家以外2棟焼損

なし
2月28日
長野県上田市
約100ヘクタール
負傷者1名
なし
なし
3月23日
愛媛県今治市
約442ヘクタール
負傷者3名

住家5棟焼損
非住家17棟焼損

あり

3月23日

岡山県岡山市南区

約565ヘクタール
なし

非住家6棟焼損

あり

※覚知日:火災の発生に気づいた日
総務省消防庁災害情報より


表にまとめた山林火災で最も規模が大きかったのは、2025年2月26日に覚知された岩手県大船渡市の山林火災です。火災拡大の危険性がなくなる「鎮圧」まで12日と長期にわたって燃え拡がり、一時は大船渡市の人口の1割以上にあたる約4600人に避難指示が出されました。また、100棟以上が焼損し、うち76棟が全壊しました。

避難指示は3月10日に解除されましたが、火災発生から40日ほど経過した2025年4月上旬でも避難生活を続けている人がおり、大船渡市では公営住宅および応急住宅への入居受付が始まっています。


▼ 実際に近くで火災が起きたらどうする?レスキューナウ従業員の体験談はこちら

海外で発生した大規模な山林火災(2025年1月~3月)

2025年は国内だけではなく、海外でも大規模な山林火災が猛威を振るっています。

2025年1月7日には、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で相次いで2つの大規模な山林火災が発生。これにより約1万5000ヘクタールが焼失し、約30人が命を落としました。人的被害以外にも高級住宅街「パシフィック・パリセーズ」をはじめ、1万5000棟以上の住宅や構造物が焼失する甚大な被害となりました。

また、2025年3月21日からは韓国南東部で相次いで山林火災が発生。この一連の火災は東京23区の7割に相当する約4万8000ヘクタールにおよぶ広大な面積を焼き尽くし、30人が死亡しました。また、2000棟を超える家屋が被害を受ける事態となっています。


ロサンゼルスでの山林火災の様子(出典:ロサンゼルス市消防局

山林火災の発生傾向

2025年初頭から相次いで発生している大規模な山林火災。

例年1月から5月が山林火災が多い時期とされていますが、今年は特に大規模な山林火災が多く報道されています。また、4月7日には長崎県五島市でも山林火災が発生し、一時避難指示が発令されるなど、今後も大規模な山林火災が発生する可能性があります。

<山林火災の月別発生件数(令和元年~令和5年の平均)>
出典:林野庁webページ(消防庁の統計資料データより作成)

一方で、10年以上のスパンで見れば、山林火災の発生件数は減少、あるいは横ばい傾向にあります。これには、毎年、林野庁・消防庁で行っている「山火事予防運動」などの啓発活動や、そもそも山に人が立ち入らなくなったといった要因が考えられます。

<山林火災の発生数の年間推移>
出典:林野庁webページ(消防庁の統計資料データより作成)

山林火災そのものの発生件数は減少しているとはいえ、一度大規模化してしまえば、複数の小規模な火事よりも脅威となります。そして、多くの市民生活や企業活動に影響を及ぼす可能性があるのは、先に述べた大規模山林火災の例でわかる通りです。

国内における山林火災の原因

発生は減少傾向にあるとはいえ、山林火災の原因としては、どんなものがあるのでしょうか。

国によって山林火災の原因は様々ですが、日本国内に限って言えば、たき火や野焼きの火入れをはじめ、人為的なものが多いとされています。

<山林火災の原因(令和元年~令和5年の平均) >

出典:林野庁webページ(消防庁の統計資料データより作成)

実際に2025年3月23日に岡山県岡山市で発生した山林火災では、伐採した木を焼却した際の火が燃え移ったと見られています。また、韓国で相次いで発生した山林火災は火の不始末や機械の火花が原因と報じられています。

山林火災によるリスク

山林火災が発生した際、我々の生活や企業活動に具体的にどのような影響が考えられるのでしょうか。特に火災が大規模化した場合を想定すると、以下のようなリスクが考えられます。

建築物への延焼

山林に隣接する建築物については、火が燃え移る可能性があります。実際に2月に大船渡市で発生した山林火災では、100棟以上に被害が出ました。また、山林から少し離れた場所にあっても、火災で舞い上がった火の粉が建築物に燃え移ることで、住宅が全焼するという被害も見られました。

ライフラインへの影響

次に考えられるのはライフラインへの影響です。特に高圧の送電線は山中を通していることも多く、山林火災の拡大によっては延焼防止のために電力供給を止めるリスクがあります。


2025年3月に今治市で発生した山林火災では、延焼の拡大で今治市に電力を供給している2つの高圧送電線のうち1つが送電を停止しました。さらにもう1つの高圧送電線近くまで延焼が拡大する可能性があり、もし送電がストップする事態になれば今治市内全域が停電する可能性がありました。

その他の影響

建築物やライフラインの影響のほかにも、煙による健康被害や消火活動に伴う道路の通行止めによる物流への影響といったリスクも考えられます。

このように山中の火災だからといって市街地にある住宅地や企業の事業活動に影響がないとは限らないのです。

▼ 火災から従業員を守る備えも大切です

山林火災を防ぐには基本的な行動から

山林火災はまず起こさないことが重要です。

山林火災は人為的な要因が多いというデータからわかるとおり、火災の原因となる火気取り扱いに十分注意することがポイントとなります。林間部や山間部で火を使う際は屋内で火を取り扱う時と同様に燃え広がらないように十分な注意をしましょう。火を使った場合は「消えるだろう」と中途半端な扱いをするのではなく、火種が消えたことを確認するまで消火を行うようにしてください。

また、もし火の手が上がってしまった、あるいは山林火災に遭遇したという場合は、通常の火災と同じく無理に消そうとせず、消防への通報と適切な避難行動を行ってください。ひとたび火や煙に囲まれてしまえば、命の危険に関わります。

企業が考えておきたい山林火災の影響

山林火災の火元を作らないことも大切ですが、山林火災の影響をできるだけ避けることが重要です。住宅延焼、停電をはじめとするライフラインや物流への影響が実際どの程度広がるのかは、気象条件をはじめとした要件もあり、その時々で変化していきます。

また、影響する可能性があるものも、停電、水道、ガス、道路など様々なものが考えられ、その火災の状況に応じて様々です。

そのため、特に事業者では、少しでも事業リスクが考えられるエリアで山林火災が発生した場合、鎮圧までの間、こまめに 情報収集をしていくことが重要です。

この時、報道のほか、自治体から発表される消火状況ならびに避難情報や、発送電事業者の出す停電情報、道路管理者の出す道路規制情報など、細かくチェックしていくことが求められます。

しかし、こうした情報の収集体制をすぐに作るのは困難です。そこで、情報収集ツールを普段から導入しておき、行動のトリガーとなる情報が出たときにすぐに対応しておくことをおすすめします。レスキューナウでは、レスキューWebをはじめとしたツールを提供しております。


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山林火災は一見遠いところの話のように思えるかもしれません。しかし、先述の通り、 大規模化してしまえば、その影響は多くの人々の生活や企業活動に及びます。

山林火災のような緊急事態であっても事業を継続していくためには、日頃からの備えと正確な情報収集が欠かせません。火の取り扱いに注意するという基本的な行動から、企業における情報収集体制の構築まで、できることから始めていきましょう。

編集:株式会社レスキューナウ
編集:株式会社レスキューナウ
2000年設立の危機管理専門企業。1995年の阪神・淡路大震災を原点に、「最新の情報技術を駆使して、危機に対する迅速な救援と復旧、復興と予防に貢献する」をミッションに掲げた事業を展開している。自然災害から交通障害まで「予定されていた行動が妨げられること」を“危機”と定義し、法人向けに、危機管理情報を配信する「コンテンツ事業」、災害時の状況把握などを支援するサービスを中心とした「危機管理サービス事業」、防災備蓄品を提案・販売する「防災備蓄品事業」の3つを事業の柱としている。

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