企業における津波リスクと7つの津波対策
こんにちは。レスキューナウです。
2022年1月中旬には海外で発生した火山噴火の影響で日本にも津波警報が出される事態がありました。私たち一人ひとりにとって津波は大変恐ろしい災害ですが、同様に企業にとっても大きな影響がある災害でもあります。
そこで今回は「企業における津波リスクと7つの津波対策」と題し、津波が企業に与える影響とその対策についてまとめます。
この記事の目次[非表示]
- 1.企業が津波リスクを想定する場合分け
- 1.1.国内で地震が発生し津波が国内に到達
- 1.2.海外で地震が発生し津波が国内に到達
- 1.3.津波が自社の海外拠点に到達
- 2.津波が企業活動にどのように影響するか?
- 2.1.生産設備や施設が損傷することによる操業停止
- 2.2.物流の停止
- 2.3.ライフライン停止による操業停止
- 2.4.通信網の停止
- 2.5.人的被害
- 2.6.安否確認が困難
- 2.7.経営圧迫
- 3.企業ができる7つの津波対策
- 3.1.BCPを策定する
- 3.2.ハザードマップを確認する
- 3.3.非常時に備えた訓練を実施する
- 3.4.防災備蓄品を整備する
- 3.5.発災時の備蓄品配布と運用
- 3.5.1.企業が無料で相談できる防災備蓄相談窓口
- 3.6.拠点の分散化
- 3.7.業務のオンライン化
- 3.7.1.発災時の情報収集もオンライン化
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企業が津波リスクを想定する場合分け
国内で地震が発生し津波が国内に到達
地震が日本の近くの海底で発生し、その影響で津波が押し寄せるケースです。
津波は海底で起きた地震により地殻が変動するためにおきます。
地震の発生後は震源や規模、地殻変動の詳細な情報を元にして気象庁が津波の心配があるかどうかを推定し、注意報・警報が発表されます。
ニュースなどで地震の情報が出ると同時に、津波の情報もニュースに出てくるため津波リスクは比較的把握しやすいです。
海外で地震が発生し津波が国内に到達
海外で起きた地震によって津波が発生し、それが日本に押し寄せるケースです。
2022年1月中旬に国内で出された津波警報は、南太平洋トンガ諸島で発生した火山噴火の影響で津波が発生したことによるものです。
遠く離れた国、地域で起こった地震は体感としても認知しづらく、ニュースでも触れづらいので意識するのが難しいかもしれません。
もちろん、今回のトンガ諸島の火山噴火による津波のように、危険性があると分かった段階で国内に警報が出されるようになっていますが、今回は真夜中のことだったためニュースに気付かずに避難など対処が必要な人や企業の対応も遅れたことが予想されます。
津波が自社の海外拠点に到達
津波が海外の拠点に押し寄せるケースです。
日本の本社で海外拠点に被害を及ぼす可能性がある津波情報をタイムリーに把握することは難しいかもしれません。
また、津波は現地の海底ケーブルや基地局、衛星アンテナなどを根こそぎ流してしまう場合があり、そうなると現地従業員との連絡は非常に困難になります。
現地では、津波に関する警報や避難情報が日本ほど早く正確に出ないかもしれません。
従業員の安全確保も遠隔地のため非常に難しくなります。
津波が企業活動にどのように影響するか?
生産設備や施設が損傷することによる操業停止
自社の生産設備や施設が津波によって損傷してしまうと、操業ができなくなります。
津波の特性として、塩害や汚泥の被害が大きくなるため、復旧には時間がかかることが予想されます。
物流の停止
津波は大量の土砂やがれきを運んでくるため、道路網が寸断され物流がストップする可能性が高くなります。企業活動に必要な資機材の調達に悪影響が発生します。
サプライチェーン網も混乱し、徐々に遅延の影響が広がっていく可能性があります。
従業員の生活にも大きな支障が出ることが見込まれ、交通の寸断のため出社ができない、物流が止まっているため避難生活に精いっぱいで勤務ができない、といったことが想定されます。
ライフライン停止による操業停止
津波により、海辺に多い発電所や内陸部の電柱電線、上下水道やガスにも破損等の影響が出ます。
津波が運んできたがれきの撤去、道路啓開を経てからライフライン復旧が始まるため、復旧には長期化が予想されます。
通信網の停止
基地局や電力網が寸断されることで、通信が困難になる可能性があります。
残った基地局も、停電後に内蔵バッテリーが尽きると停波します。
衛星電話やMCA無線といった特殊な通信機器が無い限り、連絡が取れなくなります。
人的被害
言うまでもないことですが、津波が来ると屋外というよりも建物ごと流されてしまうので人的被害のリスクはとても高くなります。
安否確認が困難
津波は道路を寸断し、繰り返し押し寄せる特性からしばらくは避難を強いる災害です。
電力や通信網も流してしまうことから、安否確認も困難になる可能性があります。
会社の経営陣やキーマンの所在が掴めず、業務が滞るリスクも存在します。
経営圧迫
津波に生産設備が壊れたり、サプライチェーンの乱れにより営業活動ができなくなると、売上がストップするのでキャッシュフローを圧迫します。
予定していた納期に間に合わないとなると取引先との関係性も変わってしまい、今後注文が来なくなるというリスクも発生します。
企業ができる7つの津波対策
これまで見てきたように津波が発生すると企業にとって多大なリスクとなります。
ではどのようにしてこれらのリスクを回避していくのか見ていきましょう。
BCPを策定する
予期しない災害が発生したときに、限られた経営資源の中で最低限の事業活動を継続し、そして復旧目標期限までに事業再開できることは企業として最も大切です。
そのための計画が事業継続計画(BCP)です。
緊急時における事業継続のための具体的な代替計画や復旧計画に加え、事前対策・計画、意思決定の手続き・体制の整備といったマネジメントまで及びます。
全体の概要としては
・事業継続のための具体的な復旧、代替計画
を中心に、
・サプライチェーンの把握
・防災・減災計画
・避難計画
・手続き・体制の整備
まで事前に企業として整備していくものです。
文書化するだけでは不十分で、発災から2時間程度の初動段階の対応は、現場での防災活動や被害、安否の情報収集を誰もが実施できるよう「手順化」をお勧めします。
発災後何分までに、誰がどの情報をどの情報源から集め、どの帳票やツールを使ってまとめるのか。
具体的な手順は、慌ただしい状況でも人を動かすことが出来るようになります。
すでにBCPをお持ちの方は、それを「手順化する」ことをご検討ください。
ハザードマップを確認する
ハザードマップとは、地域ごとの自然災害リスクとそれに伴う被災想定区域や避難場所などの防災関連の情報を表示した地図をいいます。
(出典:国土地理院)
ハザードマップには、地震、津波、洪水の浸水予測図のほか自治体によっては火山などの固有のリスクについても掲載されています。
拠点ごとに自治体のウェブサイトなどでハザードマップを確認し、固有のリスクを把握することが、防災計画を立てる上で必要です。国土交通省が公開しているハザードマップポータルサイトはオンライン上で全国のハザードマップを確認できるので便利です。
非常時に備えた訓練を実施する
災害は突然起こります。特に津波は地域によって襲来時間が短く、迅速な避難行動が必要不可欠です。
拠点の建物が津波に耐えられる構造かつ高さが十分か。不十分なら付近の高台、津波避難ビル、津波避難タワーまでの避難計画と訓練を実施しましょう。
企業によっては自治体と協力し、「率先避難者」(真っ先に逃げる姿を示すことで、周囲にも避難を促すことが出来る人)として活動している事例もあります。
避難訓練のほか、被害に備えて通報や初期消火、応急手当の訓練や、企業の情報収集や意思決定の訓練も必要です。
コロナ禍で3密を避ける訓練方法として、リモート訓練を支援しています。
訓練の詳細についてはこちらをご参照ください。
防災備蓄品を整備する
国や自治体から、地震に備えて3日分の備蓄を用意しておくことが推奨されてきました。
理由は、災害発生時に健康な人は建物に問題が無ければ留まっていただき、その間に救命率が大幅に低下する72時間以内に集中的に救助活動を行い、その後に留まっていた人を帰宅させるための道路啓開や支援を始める、というのが目的でした。
しかし、津波の場合は道路の堆積物や港湾や空港の破損のため、3日間で復旧しない場合も想定されますので、地域によっては、できるだけ備蓄を3日間以上備えると安心です。
とはいえ、備蓄品は置き場所や費用の問題がでてきます。
もし拠点でウォーターサーバーや、軽食類を業者と契約して置いているようであれば、それを一定数在庫しておくことで備蓄に加えることができます。
在庫も開店するので、企業の「ローリングストック」としても活用できるかもしれません。
発災時の備蓄品配布と運用
ライフラインが止まった場合、一日くらいなら何もなしでなんとかしのげるかもしれませんが、これが2日3日となると、準備無しでは危機を乗り越えることはできません。
発災時は非常に慌ただしい状況になります。
防災の主担当になることが多い総務部門は、ただでさえ対応に追われる中、備蓄品を配布するまで手が回らないこともあるでしょう。
一人分の防災セットがデスクに備えられていれば、最も慌ただしい初日は各自が取り出して使うだけで良く、省力化できます。
さらに、無駄なくスムーズに入れ替えができればなお良いでしょう。
レスキューナウの防災備蓄品セット「ユニット1Dayレスキュー」はA4サイズで保管しやすく、種類によってさまざまなバリエーションを用意しています。
・ペーパー歯磨き
・携帯型セーフティライト(発光時間12時間)
・大・小便共用簡易トイレ
・静音アルミシート
・ガーディVマスク
・滑り止め付軍手
・水に流せるポケットティッシュ
・オリジナルナップサック
・圧縮タオル
・コインナプキン
・3WAYポンチョ
・スマホ充電池
・ホイッスル
と、用途別に食糧以外のものも収納しています。
備蓄品を導入したあと、いざ使う時のことも想像しましょう。
例えば簡易トイレです。
導入している企業は増えてきましたが、使った後の運用まで考える必要があります。
賃貸ビルであれば、使用後の袋を置けるのは共有部か専有部のみか、ゴミ倉庫には持ち込めるのか。誰が所定の場所まで運ぶのか。
ビル管理会社や社内で、想定を作っての話し合いや確認をお勧めします。
企業が無料で相談できる防災備蓄相談窓口
レスキューナウでは、企業からの防災備蓄品に関する相談窓口(売り込まない、無料をお約束)を設けています。
お気兼ねなくご利用ください。
拠点の分散化
生産拠点など自社の拠点が1か所だけの場合はこれまで見てきたような対策をまずすべきですが、
拠点を分散できる場合は代替生産も可能になります。材料など資源さえあれば他社の拠点を間借りすることも可能ですが、自社の分散拠点をもっておくとより安心です。
さらに国内だけでなくグローバルな分散化ができればリスクが少なくなります。
業務のオンライン化
新型コロナウイルス流行の影響で、働き方も多様化してきました。
可能な業務については在宅でのオンライン業務ができるように体制を見直すのも一手です。
大規模災害以外にも、津波情報の発表や大雪、台風による鉄道の遅延・運休が生じた際に在宅勤務に切り替えたり、夜間休日の緊急対応が実施できるようになります。
発災時の情報収集もオンライン化
発災時の情報収集も、同様に在宅でのオンライン化をお勧めします。
(出典:気象庁)
津波の影響を把握する中で、自社の拠点がどこにあるのか?は見逃せないポイントです。
影響の対象範囲は変化していくものなので、常にモニタリングしておきたいですが、、
いちいちサイトを見ながら、自社の拠点の位置を突き合わせながらチェックし続けるのはとても大変な作業です。
そこでレスキューナウではレスキューWeb MAPというサービスを提供しています。
上の図のようにあらゆる災害や危機の情報と自社の拠点を一つの地図上・画面上で重ね合わせてみることができるので大変便利なものです。
自社拠点だけでなくサプライチェーン拠点も地図上でチェックできます。
いかがでしたでしょうか?
津波が企業にとってどんな影響を及ぼすのか、そしてどう対策すればいいのかお話してきました。
貴社の津波対策の一助になれば幸いです。