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今夏も厳しい!?企業ができる電力需給ひっ迫の対策とは

5月27日、経済産業省は電力不足が見込まれる際、電力需給ひっ迫「警報」の発表時間を早めるほか、新たに「注意報」と「準備情報」を出す方針を示しました。今までの警報とどう違うのか、企業はどのような対応をするべきか解説していきます。


この記事の目次[非表示]

  1. 1.電力需給ひっ迫警報と注意報
  2. 2.なぜ電力ひっ迫が起きたのか
  3. 3.実際、警報が出てどうなった?
    1. 3.1.ひっ迫当日の節電状況
  4. 4.2022年度夏季の電力需給はどうなる?
  5. 5.政府による今後の対策
    1. 5.1.節電要請について
    2. 5.2.その他の取組
  6. 6.企業がとるべき対策
  7. 7.停電に備える
  8. 8.レスキューナウで行っている対策
  9. 9.最後に


電力需給ひっ迫警報と注意報

経産省は今年3月に電力需給ひっ迫警報を出しました。電力需給ひっ迫警報は計画停電の手前の措置として位置づけられ、電力の予備率が3%を下回りそうな場合に発表されます。この時は、東京電力管内における電力需給が非常に厳しくなると予想され、前日夜に関東や東北地方に向けて出されました。

3月22日は電力需給が厳しくなる見込みのため東京電力管内で節電のご協力をお願いします【需給ひっ迫警報】 (METI/経済産業省)

3月の状況を踏まえ、警報の発表時期を2時間早めるほか、予備率が5%を下回る場合には注意報を、エリア予備率が5%程度の場合は準備情報を発表する方針を示しました。


なぜ電力ひっ迫が起きたのか

2021年夏にも電力需給が全国的に厳しくなる見通しが発表されていました。その際は、火力発電所の休廃止が相次ぎ電力の供給力が落ちているためと言われていました。

しかし2022年3月においては、3月16日に発生した福島県沖地震の影響により東北、東京エリアの火力発電所が一部停止中であったこと、東日本で気温が低く悪天候が予想されていたことにより、東京電力管内で電力需給が極めて厳しくなる見込みとなり電力需給ひっ迫警報の発表に至りました。


実際、警報が出てどうなった?

ひっ迫当日の節電状況

3月22日の需給ひっ迫時の東京電力エリアにおける節電の実績について、1日を通じて3%の節電率となっていました。節電率が最も高かったのは特別高圧産業用で7%の節電率であり、節電量が最も大きかったのは低圧電灯で節電量の約半分を占めていました。


(参照:2022年3月の東日本における電力需給ひっ迫に係る検証について_2022年5月17日 資源エネルギー庁


更なる節電を要請した15時以降から、 22日中の停電回避を発表した21時までの間の節電率は6%でした。

低圧電灯の需要(冷暖房需要)は、気温との相関が強く、昼間は日照も需要の大きさ(照明需要)に影響します。

前日想定を行った時点での想定気温推移より、15時頃~22時すぎまでの実際の気温は高くなっていました。そのため、推計需要は前日想定需要より低く、節電も可能になったと考えられます。(推計方法は資源エネルギー庁資料を参照ください。)

(参照:2022年3月の東日本における電力需給ひっ迫に係る検証について_2022年5月17日 資源エネルギー庁


低圧の電灯需要(主に家庭)は、更なる節電のお願いを行った15時以降に節電量の大幅な増加がみられました。低圧の動力需要(小規模な商店・工場など)では節電効果はほとんど見られませんでした。

高圧需要は業務用(ビル・商店・百貨店・スーパーなど)、産業用(工場など)ともに、2%程度の節電実績であったと推測されています。


(参照:2022年3月の東日本における電力需給ひっ迫に係る検証について_2022年5月17日 資源エネルギー庁

特別高圧の産業用需要は、気温との相関が比較的弱く、日ごとのばらつきが大きいですが、ディマンドリスポンス(DR)の発動連絡や電気事業者からの個別連絡があった需要家が多く、昼以降は大幅な節電が行われていたと考えられます。

※ディマンドリスポンス(DR)…電力の供給側が需要家側に電力の節約をしてもらうよう促すことで余剰電力を生み出すこと。


(参照:2022年3月の東日本における電力需給ひっ迫に係る検証について_2022年5月17日 資源エネルギー庁

以上の振り返りから、一般家庭や特別高圧の産業用需要においては昼以降に多くの節電が行われましたが、商業・産業用の需要においては節電の実施が難しかったと考えられます。


2022年度夏季の電力需給はどうなる?

2022年度夏季の電力需給は、7月の東北・東京・中部エリアの予備率は 3.1%と非常に厳しい見通しとなっています。2022年度冬季の電力需給は、東京から中部まで計7エリアで予備率 3%を下回り、特に東京エリアにおいては予備率がマイナス(供給力の不足)となるなど、2012年度以降で最も厳しい見通しとされています。


2021年度夏季
2021年度冬季
2022年度夏季
2022年度冬季
北海道
16.2%
7.0%
21.4%
6.1%
東北
3.7%
4.4%
3.1%
3.4%
東京
3.1%
-0.5%
中部
3.9%
2.8%
北陸
3.8%
関西
中国
四国
九州

(参照:2022年度の電力需給見通しと対策について_2022年5月27日 資源エネルギー庁 より作成)

さらに、コロナの影響を含めた経済社会構造の変化による電力需要の増加リスクや、ロシアのウクライナ侵攻により電力需要の約7割を占める火力発電の燃料の安定調達に不確実性を生じているなどのリスクも顕在化されています。

今夏、冬は昨年以上に電力需給ひっ迫の可能性が高いと予想できるでしょう。

また、これからの時期に多発する風水害において、2018年以降に発生した台風被害では数日間停電が続いたケースが複数あります。電力需給逼迫、風水害のふたつの観点からも停電対策は重要となります。


政府による今後の対策

以上の状況を踏まえ、資源エネルギー庁では今後の対策として次のようにあげています。

・広域機関によるkW、kWhモニタリングの実施

・発電事業者に対する保安管理の徹底、計画外停止の未然防止の要請

・火力発電設備を保有する発電事業者に対する燃料確保の要請

・小売電気事業者に対する相対契約・先物取引等の拡大、ディマンドリスポンス契約(DR)の拡充の要

・特定自家用電気工作物の設置者に対するDR契約拡充、卸電力取引所への積極的な電力供出の準

備の要請

・対価支払型のDRの普及拡大

・産業界や自治体に対する節電や緊急時における柔軟な対応への協力要請

・一般需要家に対する「無理のない範囲でできる限りの節電」への協力要請

・でんき予報の表示見直し

・需給ひっ迫警報等の国からの節電要請の手法の高度化

・セーフティネットとしての計画停電の準備状況の確認

(引用:資源エネルギー庁資料「2022年度の電力需給見通しと対策について_2022年 5月27日」)


節電要請について

3月の電力需給逼迫を経て、資源エネルギー庁では電力需給ひっ迫に関する情報発信時期・方法について見直され、警報の発表時期を早めるほか、注意報や準備情報も発令する方針を示しています。


発信時期
予備率
目的
発信者
需給ひっ迫警報
前日16時頃
広域予備率3%未満
節電行動を求める
資源エネルギー庁
需給ひっ迫注意報
前日16時頃
広域予備率3~5%未満
節電行動を求める
資源エネルギー庁
需給ひっ迫準備情報
前々日18時頃
エリア予備率5%
情報提供
一般送配電事業者

(参照:2022年度の電力需給見通しと対策について_2022年5月27日 資源エネルギー庁 より作成)

通常、前日12時に事業者から提出される翌日計画を元に、一般送配電事業者が翌日の電力需給の見通しを前日18時頃に示していましたが、3月の需給ひっ迫時では、警報の発表は前日18時でも遅く、できる限り早期の発表を望む声が多くあげられたことを踏まえ、電力需給ひっ迫の可能性を伝えるものとして、警報の発表時期を早めたり、注意報や準備情報でより早い段階から注意喚起を促す方針となったようです。


また、でんき予報(東京電力パワーグリッド)の表示については、需要上振れに伴う発電量増加を反映することで電気使用率の表示が最大100%となるよう見直されました。

(参照:2022年3月の東日本における電力需給ひっ迫に係る検証について_2022年5月17日 資源エネルギー庁


その他の取組

脱炭素化の流れの中で、火力発電所の休廃止が増加しており、調整機能を備えた電源が減少傾向にあります。一方で、出力変動の大きい再エネの導入拡大により、時間帯や季節により必要となる調整電源の量が大きく変動してしまいます。調整電源としての火力発電、調整機能の高い蓄電池、揚水発電の活用や地域間連携線の増強、DRの普及拡大など、既存電源の最大活用に向けた環境整備の詳細は、資源エネルギー庁の資料をご覧ください。

2022年度の電力需給見通しと対策について(2022年 5月27日_資源エネルギー庁)



企業がとるべき対策

では、企業としてどのような対策ができるでしょうか。

2022年度の電力需給対策の基本的方向性案では次のような対策があげられています。

(参照:2022年度の電力需給見通しと対策について_2022年5月27日 資源エネルギー庁

この中で、企業の対策として以下の3点に注目します。

1.供給対策

・ 電源募集(kW公募)の拡充による休止火力の稼働、災害等に備えた予備電源の確保

2.需要対策

・需給ひっ迫警報等の国からの節電要請の手法の高度化(多段階化、内容の具体化)

・産業界、自治体等における節電要請への対応体制の構築

多段階化や発表時期が前倒しされた警報をキャッチアップ、社内へ対応周知できるような体制作りをしたり、実際に停電となってしまった場合に最低限の稼働はできるよう事業所ごとに予備電源を準備しておくなどの対策が考えられます。

環境省や経済産業省のHPにて、企業向けの節電アクションや省エネポスター等がまとめられていますので、そちらも参考にされてみてはいかがでしょうか。


停電に備える

いざ停電となってしまった時、蓄電池の備えがあれば最低限必要な電力を確保し事業継続が可能です。一次的な電力需給ひっ迫の際、計画停電であれば数時間の停電となりますが、突発的にブラックアウトした場合は数日間停電が続く可能性があります。

発電機の備蓄は難しくても、せめて蓄電池の備えがあると安心です。移動式や手で持ち運べるものなど、多様なタイプがあります。とくに最近はテレワークの増加や脱炭素化の影響を受け、蓄電池の多様化や進歩が目覚ましいです(先日のオフィス防災EXPOでも多くの蓄電池が紹介されていました)。

  • ポータブル電源Energy Station(MES-TR470)
  • 移動式蓄電システム CUBOX

  • 蓄電システム:e-block (イーブロック)


その他にも、

  •  懐中電灯などの照明を倉庫から出したり点検をする
  •  急な停電に備えて懐中電灯や出入口等に蓄光テープを貼る
  •  停電時の業務継続を検討しておく
  •  蓄電池配備を検討する(無停電電源装置付きなど)

こういった準備をしておくことで、いざ停電が発生した際にも慌てずに行動できるはずです。

蓄電池と発電機の違いやその他の対策についてはこちらの記事もあわせてご覧下さい。

  【BCP】停電のリスクと企業が出来る対策 停電により企業が受ける影響と、その対策について解説しています。 株式会社レスキューナウ


PDF版はこちら 


レスキューナウで行っている対策

ご参考までに、レスキューナウの核となる危機管理情報センター(RIC)で行っている停電対策をご紹介します。

RICでは不動前オフィス、大阪オフィスには蓄電池設備を置き、数時間の停電には耐えられるようにしています。最近はリモート勤務も行われていますが、コードRED対応のためにオフィス近隣に居住しているスタッフと、それ以外の地域に居住しているスタッフとで居住地がある程度分散しているため、停電時には停電が発生していないエリアの担当者が業務をカバーできるようになっています。

広域停電の発生や発生が見込まれる際には、大阪オフィス、東京オフィスに拠点を移して対応します。実際に3月22日に電力需給ひっ迫警報が発表された際は、東京オフィススタッフの大阪オフィスへの移動も検討されました。


また、電力需給ひっ迫警報、注意報、準備情報について、現状では発表に伴う実際に発生した停電、あるいは決定した計画停電の実施計画について配信することとしています。今後の発表情報の特性分析や、お客様のニーズのお声を元に、配信の検討を進めていきたいと考えています。


最後に

電力は事業継続に欠かせません。一家に一台蓄電池…は難しいかもしれませんが、一事業所に一台蓄電池、から始めてみてはいかがでしょうか。

どのような対策をすべきか、何から備えるべきか等お悩みの際は、レスキューナウの無料相談窓口からお気軽にご相談ください。

  企業向け防災備蓄相談窓口 | レスキューナウ 災害対策に必要な商品は何か、その運用方法にも詳しい専門家が、お客様からのご相談を承ります。豊富な防災用品納入実績とその選定をサポートしてきた専門スタッフが、これまでの経験から、多くのお客様がお困りになる点、対策をすすめる上で注意すべき点に留意しながらお客様のお悩みを解決してまいります。 株式会社レスキューナウ


(参考資料)
経済産業省 資源エネルギー庁 資料
第49回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会(METI/経済産業省)
第50回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 電力・ガス基本政策小委員会(METI/経済産業省)

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