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3.11 大津波の教訓を生かした改善と対策

こんにちは、レスキューナウです。

2024年1月1日に発生した「令和6年能登半島地震」(以下、能登半島地震)。この地震で気象庁は石川県能登に大津波警報を発表しました。大津波警報が発表されたのは、2011年の東北地方太平洋沖地震(以下、東日本大震災)以来となり、当時の記憶がよみがえった方がいるかもしれません。

いまいちど、気象庁やマスメディアが伝える津波情報について確認してみましょう。

この記事の目次[非表示]

  1. 1.東日本大震災を機に改善された津波情報
  2. 2.津波情報を伝えるマスメディアの取り組み
  3. 3.津波情報が発表された時、我々がすべき行動
  4. 4.津波情報からの避難で企業ができることは
  5. 5.まとめ


東日本大震災を機に改善された津波情報

気象庁では、津波による災害の発生が予想される場合、地震発生から約3分を目標に津波情報を発表することにしています。今回の能登半島地震では、2024年1月1日(月)16時10分頃の地震発生から2分後の16:12に津波警報を発表し、16:22には大津波警報へ引き上げました。この津波情報は東日本大震災の反省を踏まえて改善されたものとなっています。


今年で発生から13年となった東日本大震災では、2011年3月11日14:46分頃の地震発生から3分後の14:49に、岩手県・宮城県・福島県の沿岸に大津波警報、北海道から九州にかけての太平洋沿岸と小笠原諸島に津波警報と津波注意報を発表しました。この第1報で予想されていた津波の高さは岩手県と福島県で「3m」。実際に押し寄せた津波は福島県相馬で9.3m以上、岩手県宮古で8.5m以上で、第1報の予想と実際の津波の高さに大きな隔たりがありました。そして、この予想値の低さが避難の遅れにつながり、大きな被害が出る一因とされました。


これを受け、気象庁は津波情報の内容について改善を行い、現行の新たな津波情報の運用を2013年3月7日から開始しました。


改善された現在の津波情報は、マグニチュード8.0を超える巨大地震などが発生した場合、予想される津波の高さについて数値を用いた発表は行わず、「巨大」・「高い」と表現することにしました。これは、巨大地震の場合、津波の高さを推定するために必要な地震の規模について、精度のよいデータを把握するのに時間がかかるためです。つまり、予想される津波の高さが「巨大」や「高い」と発表された場合は非常事態であることを示しています。

【マグニチュード8.0以上の巨大地震発生時の津波情報】

大津波警報

巨大

津波警報

高い

津波注意報

表記しない


また、マグニチュード8.0には届かないものの、地震による津波が予想される場合についても、数値で発表する高さの区分を改めました。具体的には、東日本大震災発生当時は「0.5m・1m・2m・3m・4m・6m・8m・10m以上」の8つに区分されていましたが、現在では予測誤差を勘案して「1m・3m・5m・10m・10m超」の5つに区分し、それぞれの予想の高さに応じて津波情報を発表することになっています。

【マグニチュード8.0未満の地震発生時の津波情報】

大津波警報

予想の高さ5m/10m/10m超

津波警報

予想の高さ3m

津波注意報
予想の高さ1m



津波情報を伝えるマスメディアの取り組み

東日本大震災を契機にマスメディアでも情報の伝え方を改善しました。

例えばNHKでは東日本大震災まで、視聴者がパニックを起こさないよう普段通りの表現で情報を伝えることに重点が置かれていましたが、現在では必要に応じて命令口調で避難行動を促す呼びかけを放送で行っています。

今回の能登半島地震でも、以下の呼びかけを感情に訴えるトーンで聞かれた方も多かったのではないでしょうか。


 ・東日本大震災を思い出してください。
 ・命を守るため、一刻も早く逃げてください。
 ・周りの人にも避難を呼びかけながら逃げてください。
 ・今すぐ可能な限り高い所へ逃げること。
 ・近くに高台がなければ、高いビルの上か、海岸から遠く離れた所へ逃げること。
 ・決して立ち止まったり、引き返したりしないこと。


NHKでは、こうした呼びかけを「命を守る呼びかけ」というハンドブックにまとめており、地震以外の災害も含め100以上のパターンが掲載されています。こうした呼びかけを放送で見聞きした場合、危機が迫っていることを自覚し、人命最優先で行動することが重要となります。


津波情報が発表された時、我々がすべき行動

津波情報が発表された場合、我々はどうすればよいのでしょうか。大津波警報が発表されたこれまでの事例から見ていきましょう。

2010年2月、南米チリで発生した巨大地震では日本列島にも津波が押し寄せ、東北地方の太平洋沿岸に大津波警報が発表されました。

内閣府と総務省消防庁は、このときの住民避難についてアンケート調査を実施しました。調査は、大津波警報が発表された青森県・岩手県・宮城県の36市町村の中で、避難指示(当時)または避難勧告(当時)が発令された地域の住民に対して行われました。

その結果、全体の98%の住民が「大津波警報を見聞きした」と回答。ところが、全体の57.3%の住民が「避難しなかった」と回答しました。避難しなかった理由として、「自宅が高台にあり津波による浸水のおそれがないと思った」・「自分のいる所が2階以上の高さのあるところだったので、安全だと思った」などがありました。

また、東日本大震災における被災者の避難行動について、内閣府が2011年に実施したアンケート調査の結果は以下の通りとなりました。



これらのアンケート結果の捉え方は人によって様々だと思います。ただ、少なくとも気象庁や各自治体から発表される避難の呼びかけに従うことは、助かる可能性を高めることにつながります。一方で、「自治体で備えをしているから」・「過去の津波のときも大丈夫だった」と考えることは、自分の命を失いかねません。

今回の能登半島地震でも地震発生から比較的短い時間で沿岸部に津波が到達したことから、津波情報が発表されたらすぐに避難行動をとることが求められます。


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津波情報からの避難で企業ができることは

企業としてできることは、「率先避難者(社)」になることです。

人は周囲から促されることで行動を開始するきっかけを得ることができると言われています。

企業が避難する際に「津波が来ます!一緒に逃げましょう!我々も避難します!」などと近隣や通行人に声を掛けつつ、集団で避難している姿を見せるとどうでしょう。

「なんだか逃げないと危なそうな雰囲気だな」

「みんなも逃げてるから自分も逃げよう」

といった形で避難行動を促して救える命があるかもしれません。

自らが率先して逃げる姿を見せることも立派な人命救助のひとつの方法です。


とはいえ、自らが率先して逃げられるようにするために、事前に下記のような検討と準備をしておきましょう。


・津波情報が発表された時点で速やかに業務を放棄して避難する指針を周知しておく。
・避難した後は津波情報解除まで戻らないよう徹底する。
・円滑な避難のためオフィスの避難経路を整理し、避難先を社内に掲示しておく。
・自社が入居するビルが津波避難ビルまたは津波発生時でもとどまり続けられる建物か確認しておく。
・避難時の最低限の持ち出し品を検討し、防災備蓄品も個人が携行しやすいものにしておく。
・集団での避難にあたり、先導や統制、避難周知のためメガホンや反射ベスト、目印となるのぼりや旗などを準備するか検討する。
・避難経路を確認するとともに、途中に危険箇所がないか、避難場所が危なくなった場合の代替避難場所をどうするか検討しておく。
・避難する際は途中で「津波警報がでました!避難しましょう!」など周囲や通行人に声を掛けながら避難する。


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まとめ

津波による人的被害の軽減は、気象庁・自治体・マスメディア・避難が必要な人たちの行動の歯車が上手くかみ合ってこそ実現できます。情報を受け取る側の私たちも、今回の能登半島地震の被害を風化させることなく後世へ伝え、「揺れがおさまったらすぐ避難」を実践していきましょう。


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