ブログ
catch-img

エスカレーターの事故から考える歩行禁止の是非

こんにちは。レスキューナウです。

1914年(大正3年)に日本初の常設のエスカレーターが東京の日本橋三越本店に設置されて今年で110年。

エスカレーターは駅や空港、商業施設やテーマパークなどに多数設置され、私たちの暮らしを支える重要な社会インフラの一つとなっています。

しかし、その一方で、エスカレーターをめぐっては、国内外問わず、死者や多数の負傷者といった人的被害の生じる事故が発生しています。

  BCP(事業継続計画)とは?BCP対策の目的や手順、企業事例を徹底解説 BCPとは事業継続計画のことを指し、大地震等の自然災害、感染症のまん延、テロ等の事件、大事故、サプライチェーン(供給網)の途絶、突発的な経営環境の変化など、不測の事態が発生する リスクから、企業の重要な業務を保護し続けるための計画です。 株式会社レスキューナウ
  防災訓練大全!企業が実施すべき19選と自治体が行う9選を解説 災害発生時に適切な行動をとり事業を止めないためには、災害時を想定した実践的な防災訓練を行うことが大切。消火・避難・救助など全従業員が対象の防災訓練や、災害対策本部のための訓練、企業においてどのように訓練企画や防災啓蒙を行うべき紹介します。 株式会社レスキューナウ


この記事の目次[非表示]

  1. 1.エスカレーター事故件数は15年で約2倍に
  2. 2.直近の大きなエスカレーター事故の例
  3. 3.エスカレーター事故はなぜ起きるのか
  4. 4.エスカレーターの正しくて安全な乗り方
  5. 5.「片側空け」より「2列乗り」の方が効率が実は良い
  6. 6.新たな条例の制定・施行の動きも


エスカレーター事故件数は15年で約2倍に

近年のエスカレーター事故の発生件数は増加傾向にあります。

一般社団法人日本エレベーター協会が1980年から5年ごとに行っている調査によると、エスカレーターの利用者災害の発生件数全体は最新の第9回調査(2018年1月~2019年12月に発生し報告された数)で1550件でした。

この数字は15年前に行われた第6回調査の674件と比べ2倍増、10年前に行われた第7回調査の1200件と比べ約1.3倍増となっています。


直近の大きなエスカレーター事故の例

具体的な事故としては、つい先日の2024年3月26日、茨城県のJR水戸駅で衣服の巻き込まれによる死亡事故が発生しました。ニュースで見た方も多いのではないでしょうか。


直近の例を見ると、2023年6月8日には韓国でエスカレーター逆走事故が発生しました。

現場はソウル郊外の地下鉄の駅で、上りエスカレーターが突然逆走。乗客14人がけがをし、そのうち3人が重傷でした。

報道などによると、部品が壊れる音がするとともに、一番上にいた人が数秒の間に下まで落ちてきたといいます。


こうしたエスカレーターの逆走事故は日本でもたびたび発生しています。

中でも、被害の規模が大きかった事故の例として、東京都江東区の東京国際展示場(2008年8月)や神奈川県川崎市の武蔵小杉駅構内(2014年1月)の事故では、いずれも上りエスカレーターが急停止したあと逆走し、10人以上の負傷者が出ました。


エスカレーター事故はなぜ起きるのか

こうしたエスカレーター事故の原因のひとつには、管理者側の不備が指摘されています。

先ほど挙げた川崎市の事例では、事前の定期点検でエスカレーターを動かす「駆動チェーン」の緩みの異常を把握していながら放置されていたとのことです。

その結果、駆動チェーンの切断や安全装置の故障を引き起こし、大きな事故につながったとみられています。


「たら」「れば」の話になってしまいますが、もし点検の際に然るべき措置をとっていれば、この事故は未然に防ぐことができていた可能性も考えられます。

また、点検中の転落や巻き込み事故も、数は多くないものの事故事例が多いものです。

事前の周知や立て看板等の作業中の柵、作業中に予期せぬことが起こった際にも対処できるようなマニュアル化等も、管理者側の今後の課題といえます。


逆に、 エスカレーター管理者側の不備の一方で、利用者側が正しい利用方法を知らないことも事故につながる原因のひとつとなっています。


エスカレーターの正しくて安全な乗り方

関東と関西でエスカレーターのステップの右側や左側を空ける「習慣」の違いが存在することはよく言われていますが、そもそも歩いて移動したり、急いでいる人のために片側を空ける行動自体が正しい乗り方ではありません。

一般社団法人日本エレベーター協会などによると、エスカレーターの安全基準は、ステップ上に立ち止まって利用することが前提で、歩く際の振動や圧力によって緊急停止したり、機器の劣化や不具合が生じたりする可能性もあるとして、歩行禁止を呼びかけています。


このエスカレーターで歩く人のために片側をあける習慣は、病気やケガなどで左右いずれかの手すりしかつかまることのできない利用者にとって、危険な事故につながる場合があることも認識しておきたいところです。

また、エスカレーターを駆け上がったり駆け下りたりすると、自身でバランスを崩して転倒するおそれや、他の利用者と衝突して転倒させるおそれがあり、非常に危険です。


エスカレーターの乗り方については様々な注意喚起がされていますが、特に『手すりにつかまる』『立ち止まる』『2列に並ぶ』ことが正しく、安全な乗り方の三原則といえるでしょう。


エスカレーター



「片側空け」より「2列乗り」の方が効率が実は良い

構造計画研究所によるシミュレーションや調査では興味深い結果も出ています。

片側空けをした場合の人の流れと、2列乗りをした際の人の流れですが、比べてみると2列乗りの方が数十秒~数分は早く同じ人数を運ぶことができたということです。

エスカレーターに乗るのを待っている時間や、そのスペースの緊密度を考えると、2列乗りの方が有効だと分かります。



新たな条例の制定・施行の動きも

半世紀近く続く、エスカレーター事故の増加傾向。これに対し、事故減少や利用者マナー向上などを目的として、ここ数年で新たな制度を制定する動きが進んでいます。

埼玉県では2021年10月1日より、「埼玉県エスカレーターの安全な利用の促進に関する条例」が施行されました。

この条例は、利用者は「立ち止まった状態でエスカレーターを利用しなければならない」、管理者は「利用者に対し、立ち止まった状態でエスカレーターを利用すべきことを周知しなければならない」というように、利用者と管理者双方の義務を定めたもので、当時、全国で初の取り組みでした。


その後、2023年10月1日には政令指定都市では初の事例として名古屋市でも同様の条例が施行されたほか、条例はないものの、福岡県や川崎市のようにエスカレーター「歩かず立ち止まろう」キャンペーンを定期的に行っている自治体もあります。


このように少しずつではありますがエスカレーター事故撲滅に向けた本格的な取り組みが拡がっています。


しかし、条例制定は効果が思うように表れていないのが現状です。埼玉県内で行ったある調査では、エスカレーターを歩く人の割合は施行後に減少傾向を示したものの、1年後には施行前の水準に戻ってしまったといいます。


法律を守らなかったとしても罰則の規定がないこともあり、「慣れ」が生じるとともに人々の意識が薄れてきてしまったようです。

この現状を打開するためには、管理者が利用者に対して継続した呼びかけを粘り強く行い、1人1人の危機管理に対する意識を高めていくことが重要といえるでしょう。






■参照URL
・エスカレーター逆走事故(韓国・ソウル)
(1)TBSテレビ https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/534105?display=1&mwplay=1
(2)NHK https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230610/k10014095581000.html
(3)日テレ https://news.yahoo.co.jp/articles/d0f3b2861c6e96a9f883fdac491530ac16241dd1
・エスカレーター逆走事故(東京都江東区)
(1)日本経済新聞 https://www.nikkei.com/article/DGXMZO82441160X20C15A1000000/
(2)千葉日報 https://www.chibanippo.co.jp/newspack/20150119/235832
・エスカレーター逆走事故(神奈川県川崎市)
(1)神奈川新聞 https://www.kanaloco.jp/news/social/entry-56223.html
(2)日本経済新聞https://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0803X_Y4A100C1CC1000/
(3)神奈川県川崎市・千葉県船橋市内エスカレーター事故 調査報告書 https://www.mlit.go.jp/common/001108665.pdf
 ・消費者庁HP「エスカレーターでの事故にご注意ください。」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/other/information_004/
・エスカレーター「歩かず立ち止まろう」キャンペーンを実施します(福岡県)
https://www.pref.fukuoka.lg.jp/press-release/esukare-ta.html
・駅周辺のエスカレーターの安全利用について(川崎市)
https://www.city.kawasaki.jp/kurashi/category/28-6-6-3-13-0-0-0-0-0.html
 
・一般社団法人日本エレベーター協会
(1)エスカレーターにおける利用者災害の調査報告(第9回)
https://www.n-elekyo.or.jp/about/elevatorjournal/pdf/Journal31_11.pdf
(2)エスカレーターのご利用について
https://www.n-elekyo.or.jp/instructions/escalator.html
 ・エスカレーターの安全利用に関する条例(埼玉県、名古屋市
http://www.rilg.or.jp/htdocs/img/reiki/091_escalator.htm
・埼玉や福岡の事例で見る…エスカレーターには「立ち止まって乗る」名古屋市が義務化へ 成否のカギは【愛知発】https://www.fnn.jp/articles/-/486041(東海テレビ)
・エスカレーターは「立ち止まって乗る」知っておきたいポイントhttps://www.nhk.or.jp/shutoken/newsup/20221213d.html(NHKテレビ)
・エスカレーター条例1年、変化した「歩かない利用者」…右側で立ち止まる人も増えるhttps://www.yomiuri.co.jp/national/20221002-OYT1T50106/(読売新聞)
・エスカレーターでは「止まれ」 事故805件、初の条例https://www.asahi.com/articles/ASP3V66ZBP3CUTNB019.html(朝日新聞)

・エスカレーターモデル
https://mas.kke.co.jp/escalator/






記事を検索する

カテゴリから記事を探す

人気記事ランキング

imatome
ステータスChecker
レスキューWeb MAP
防災備蓄相談窓口
安否確認
リモート防災訓練
ユニット1Dayレスキュー
レスキューナウ
株式会社レスキューナウ
東京都品川区西五反田7-20-9 KDX西五反田ビル1F
TEL:03-5759-6775(平日9時-18時 受付専用)
ISMS-AC
IS 610416 / ISO 27001
登録組織:株式会社レスキューナウ
登録範囲:本社、不動前オフィスにおける
「危機管理サービスのシステム運用」「コンテンツ配信サービスのシステム運用」
ページトップ