
2025年8月 九州で相次いだ大雨、その時の状況は?
こんにちは。レスキューナウです。
「これまでに経験したことのない大雨」が、毎年のように日本のどこかで発生しています。2025年の8月も例外ではなく、九州地方では停滞する前線の影響で線状降水帯が繰り返し発生し 、鹿児島県と熊本県には大雨特別警報が発表されました 。さらに、発生からわずか8時間で台風12号が上陸した際も大雨が観測されました。
本記事では、弊社が収集した情報と災害状況を可視化する「レスキューWeb MAP」を用いて、当時の状況を詳しく振り返ります。差し迫る脅威に対して、私たちはどのように備えるべきか。企業防災や災害対策の参考にしていただければ幸いです。
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【2025年8月8日~11日】九州地方で線状降水帯発生相次ぐ
2025年8月8日から11日にかけて、九州の広範囲で線状降水帯が相次いで発生しました。日本付近に停滞する前線に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、大気の状態が非常に不安定になったことが原因です。
この相次ぐ線状降水帯の発生で、鹿児島県、熊本県で大雨特別警報が発表されました。
また、土砂崩れなどで福岡、熊本、鹿児島の3県合計で7名が死亡したほか、1万軒以上が全半壊あるいは浸水の被害をうけました。
さらに、断水や停電、通信などのライフラインの寸断や、道路の法面崩壊、線路への土砂流入といった交通インフラへの影響も広い範囲で発生しました。
2025年8月9日23時頃の九州北部における降雨や警報、危機管理情報の状況
弊社の「レスキューWeb MAP」で当時の熊本県の状況を見てみましょう。8月10日21時から翌11日15時までの18時間の動きを見ると、大雨の範囲が県北部から南部へと移動し、県内の広範囲で浸水や土砂災害、洪水のリスクが変化していった様子が明確に見て取れます。
2025年8月10日から11日にかけての熊本県内大雨および危機管理情報の状況
【2025年8月21日】台風12号が鹿児島県に上陸
月の後半、2025年8月21日には台風の上陸もありました。同日午前、鹿児島県薩摩川内市の西約90kmの海上で台風12号が発生し、17時に同県日置市付近に上陸しました。その間わずか8時間と非常に短かったことが今回の台風の大きな特徴です。
この台風の接近・上陸に伴い、鹿児島県南部の薩摩半島周辺で大雨を観測し、鹿児島県内だけで200軒以上の住宅被害が発生しました。また、がけ崩れや道路等の損壊やライフライン等への被害も発生し、8月前半の線状降水帯による大雨と併せて鹿児島県内では1ヶ月の間に相次いで大雨災害が発生しました。
「レスキューWeb MAP」で台風12号接近時の鹿児島県の状況をみると、台風の東側で大雨のリスクが高まり、上陸後に避難情報や危機管理情報の範囲が一気に広がっていることがわかります。
2025年8月に発生した災害を振り返って見えること
8月はお盆休みなどの時期とも重なりますが、防災の観点では大雨への警戒が欠かせない月でもあります。
昨年(2024年)は、東日本や西日本に複数の台風が上陸し、各地に被害をもたらしました。今年は本記事で詳述したように、九州地方を中心に線状降水帯や台風による災害が発生しています。つまり、特定の年に限らず「8月」という時期が、豪雨、台風といった多様な災害リスクと常に隣り合わせであることを、私たちに改めて示しています。
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では、こうした恒常的なリスクに対し、私たちはどう向き合うべきなのでしょうか。その答えは地道な「改善サイクル」を回し続けることに尽きます。
8月のように大雨のシーズンの場合、気象情報や危機管理情報を適切にキャッチする体制をつくり、万が一の際には迅速かつ的確に行動すること。そして、経験から得た学びを次の対策に活かしていくこと。こうした継続的な改善サイクルこそが、組織のレジリエンスを高め、災害に強い企業を育てていきます。
また、こうした恒常的なリスクに対する体制づくりや改善サイクルの継続は、地震のような突発的な災害への対応にも必ず生きてきます。
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