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初の「北海道・三陸沖後発地震注意情報」発表。企業が今すべき対応とは?

こんにちは、レスキューナウです。

12月8日23時15分頃、青森県東方沖を震源とするM7.6の地震が発生しました。 まずは、今回の地震で被災された皆様、避難を余儀なくされた皆様に心よりお見舞い申し上げます。

今回の地震では、東北・北海道の広い範囲で揺れや津波が観測され、人的被害やライフラインへの影響も発生しています。そして、この地震を受けて気象庁より「北海道・三陸沖後発地震注意情報」が、運用開始後はじめて発表されました。

防災担当者の中には「初めて聞く情報で、どう対応すればよいかわからない」「従業員にどう指示を出せばいいのか」と、戸惑われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

今回は、この情報を受けて企業がどう行動すべきか、そしてそもそもどのような情報なのか、整理していきます。

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この記事の目次[非表示]

  1. 1.【結論】「北海道・三陸沖後発地震注意情報」発表中に事業を即座に停止する必要は基本的にはない
  2. 2.企業の防災担当者が「いますぐ」確認しておきたいこと
    1. 2.1.【対象エリア内の拠点】物理的な「逃げ道」を確保する
    2. 2.2.【本社・エリア外の拠点】「連絡のパイプ」を太くする
  3. 3.そもそも「北海道・三陸沖後発地震注意情報」とは?
  4. 4.「100回に1回」のリスクをどう捉えるか
  5. 5.正しく警戒し、備える1週間に

【結論】「北海道・三陸沖後発地震注意情報」発表中に事業を即座に停止する必要は基本的にはない

「北海道・三陸沖後発地震注意情報」で、企業の経営者・防災担当者にとって最も関心があるのは「通常通り営業していいのか」という点かと思います。

結論から申し上げると、事業を停止したり、一律に帰宅命令を出したりする必要は基本的にはありません。

政府は対応の指針として「地震発生から1週間程度、社会経済活動を継続しつつ、日頃からの地震への備えの再確認をすること」、「揺れを感じたり、津波警報等が発表されたりしたら、すぐに避難できる態勢を準備すること」を挙げています。過度に恐れて経済活動を止める必要はありません。

ただし、「何もしなくていい」わけではありません。 「業務はいつも通り行うが、防災意識だけは非常時レベルに引き上げておく」。この切り替えが、注意情報発表中の重要な心構えになります。



後発地震注意情報発表時における備えの内容について
「北海道・三陸沖後発地震注意情報 防災対応ガイドライン」(内閣府)より引用)

企業の防災担当者が「いますぐ」確認しておきたいこと

では、具体的にどのような準備をすればよいのでしょうか。 企業の対応は、注意情報で防災対応をとるエリアにある「現地の拠点」と、それを支える「本社・エリア外の拠点」で、やるべきことが異なります。

なお、注意情報で防災対応をとるエリアについては「北海道・三陸沖後発地震注意情報の解説ページ」(内閣府)を参照してください。

【対象エリア内の拠点】物理的な「逃げ道」を確保する

揺れや津波の直接的なリスクがある現地の拠点では、「発災時の初動を1秒でも早くする」ための準備が最優先です。

まず行っていただきたいのが、事業所・工場の「安全点検」です。 避難経路となる廊下や出入り口に、仮置きの段ボールや荷物が置かれていないか、 キャビネットや複合機、ロッカーの固定は外れていないか等、 いざという時に避難の妨げになるものは、この1週間だけでも安全な場所へ移動させてください。

次に、備蓄品や装備品の「配置換え」です。 ヘルメットや非常持ち出し袋が、倉庫の奥深くに眠っているケースはよくあります。揺れを感じたらすぐに持ち出せるよう、執務室内やデスクの近くなど、目に見える場所へ一時的に移動させておくことを強くお勧めします。また、12月の北海道・東北において、停電時の「寒さ」は命に関わります。防寒着や毛布、カイロなどがすぐに使える状態にあるか、重点的にチェックしてください。

そして、沿岸部の拠点では、従業員全員で避難場所とルートの再確認を必ず行ってください。「津波警報が出たら、誰の指示を待つことなく高いところへ走る」。この共通認識を持っておくだけで、実際の避難行動は劇的に早くなります。

▼ 備蓄品の困りごとに関するQ&Aをご紹介しています

【本社・エリア外の拠点】「連絡のパイプ」を太くする

一方、被災想定エリア外にある本社や管理部門の役割は、現地が混乱した際に冷静にサポートできるよう、連絡体制と情報収集ルートを確立しておくことです。

大規模な地震が発生した場合、対象エリアの責任者とすぐに連絡がつくか、 緊急連絡網や安否確認システムが正しく稼働するか、簡単にでもチェックしておくことを推奨します。

また、従業員へのアナウンスも重要です。 「注意情報は出ているが、過度に恐れる必要はない」と伝えつつ、「ただし、揺れたらすぐに身を守るように」と注意喚起を行ってください。会社として冷静なメッセージを発信することで、従業員の無用な不安を和らげることができます。

▼ 企業防災における緊急連絡網についてはこちら

そもそも「北海道・三陸沖後発地震注意情報」とは?

ここからは、なぜこのような注意喚起が行われているのか、情報の背景について整理していきます。

「北海道・三陸沖後発地震注意情報」とは、日本海溝・千島海溝沿いで大規模な地震が発生した際、それに誘発されてさらに大きな地震(後発地震)が発生するリスクが高まっているとして、注意を呼びかける情報です。

わかりやすく言えば、2024年8月に発表された「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」の、北海道・三陸沖版だと考えていただければ分かりやすいでしょう。

「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」・「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は共に事前に指定した範囲内で一定以上の地震が発生した場合などに発表されます。

今回は指定された範囲内でM7.6という大きな地震が発生しました。これが大きさの基準となる『モーメントマグニチュード7.0』を満たしたため、情報発表に至りました。


「北海道・三陸沖後発地震注意情報」発表の流れ
「北海道・三陸沖後発地震注意情報 防災対応ガイドライン」(内閣府)より引用)

「100回に1回」のリスクをどう捉えるか

世界の大地震の統計データによると、今回のような地震が発生した後、7日以内に巨大地震が発生する確率は「約100回に1回程度」といわれています。

皆さんは、この数字をどう感じるでしょうか。「高い」と感じるか、「低い」と感じるかは人それぞれかもしれません。実際には、後発地震が起きずに1週間が過ぎることの方が圧倒的に多いです。 しかし、これは平時に比べれば、大規模な地震が発生する確率が格段に高まっている状態であることも事実です。


過去の世界の「100回に1回」の統計データ
「北海道・三陸沖後発地震注意情報について」(内閣府・気象庁 令和7年12月9日発表)より引用)

内閣府の試算によると、日本海溝・千島海溝沿いで巨大地震が発生した場合でも、事前の避難意識や防寒備品などの準備を整えておくことで、人的被害を8割減らすことができるといわれています。

「北海道・三陸沖後発地震注意情報」は「必ず地震が来る」という予言ではありません。しかし、大地震・津波の被害は準備さえしておけば劇的に減らせます。だからこそ、政府はあえてこの情報を発表し、注意を促しているのです。

 発表基準など詳細についてはこちら:北海道・三陸沖後発地震注意情報について(気象庁)

正しく警戒し、備える1週間に

今回の情報は、私たちに「改めて防災を見直すきっかけ」を与えてくれているという考え方もできます。

過度に恐れて経済活動を止める必要はありません。しかし、この1週間を「ただ運を天に任せて過ごす」のではなく、「いつ起きても大丈夫なように、少しだけ意識を高めて過ごす」ことで、万が一の際の結果が大きく変わります。

ぜひ、この機会に身近なアクションから社内の備えを点検し、安心して業務に取り組める環境を整えてみてください。その小さな行動が、従業員の安全と企業の安定した事業継続を守る大きな一歩になります。

レスキューナウでは、企業の危機管理に役立つ情報を定期的に配信しています。今後の情報収集の一環として、ぜひご活用ください。

編集:株式会社レスキューナウ
編集:株式会社レスキューナウ
2000年設立の危機管理専門企業。1995年の阪神・淡路大震災を原点に、「最新の情報技術を駆使して、危機に対する迅速な救援と復旧、復興と予防に貢献する」をミッションに掲げた事業を展開している。自然災害から交通障害まで「予定されていた行動が妨げられること」を“危機”と定義し、法人向けに、危機管理情報を配信する「コンテンツ事業」、災害時の状況把握などを支援するサービスを中心とした「危機管理サービス事業」、防災備蓄品を提案・販売する「防災備蓄品事業」の3つを事業の柱としている。

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