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羽越本線脱線事故から20年。冬の荒天リスクに企業はどう備えるべきか

こんにちは、レスキューナウです。

12月も下旬に入り、慌ただしい日々の中、天気予報でも「荒天」の文字を目にする機会が増えてきました。

冬の備えといえば「雪」を連想しがちですが、実は「強風」もまた、この季節の大きな脅威です。今から20年前の2005年12月25日。山形県の庄内平野を走行中だった特急列車が、突風により脱線・転覆する事故が発生しました。乗客・乗員の8割以上が死傷するという、極めて痛ましく、社会に大きな衝撃を与えた事故でした。

20年前と比べ、近年の気候は穏やかになるどころか、むしろ極端化・激甚化の傾向にあります。突風や暴風は、物流の停滞、拠点の停電、従業員の帰宅困難といった企業にとって無視できない経営上のリスクにもつながります。

本記事では羽越本線の事故から冬特有の荒天メカニズムを紐解き、激甚化する気象環境下でも、安心・安定した事業継続を行うためのヒントをご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。

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この記事の目次[非表示]

  1. 1.羽越本線脱線事故から20年。当時何が起きたのか
  2. 2.「突風」を引き起こした冬の気象メカニズム
  3. 3.突風だけではない冬の荒天時のリスク
  4. 4.冬の荒天に対し「先手」を打つために使える情報とは
  5. 5.情報整理を効率化し、実効性の高い「次の一手」へ集中を

羽越本線脱線事故から20年。当時何が起きたのか

2005年12月25日19時14分頃、JR羽越本線の北余目駅(山形県庄内町)と砂越駅(山形県酒田市)の間を走行していた「特急いなほ14号」(新潟行き)が突如として脱線・転覆しました。この事故で46名の乗員・乗客のうち、5名が死亡、33名が負傷するという大惨事となりました。

事故の凄まじさは、全6両に及ぶ脱線状況に克明に表れています。まず先頭の1両目が盛土から左側へ横転して線路脇の小屋に激突すると、続く2両目も並走するように左側へ横転。さらに3両目は、前の車両に引きずられる形で進行方向から180度も向きを変えました。後方の4両目と5両目は下り線を塞ぐように脱線し、最後尾の6両目も台車の1つが脱線するなど、結果として編成のすべての車両が脱線・横転したのです。


羽越本線脱線事故現場の様子。左が新潟方、右が秋田方(航空・鉄道事故調査委員会調査報告書より)

その後の航空・鉄道事故調査委員会の調査で、事故の主因は、積乱雲に伴う「突風または竜巻による強風」と推定されました。現場付近には12kmにわたる強風の跡が残り、その被害状況や車両の条件から、瞬間的に40m/s近い風が吹いたと考えられています。

こうした強風による事故は過去にも発生しており、JR羽越本線の脱線事故報告内では30m/s~45m/sもの風速で発生した脱線事故として以下が挙げられています。

事故発生日

事故が発生した路線・区間

1978年2月28日 

営団東西線(現在は東京メトロ東西線) 南砂町~葛西駅間

1986年12月28日

国鉄山陰本線(現在はJR西日本山陰本線) 鎧~餘部駅間

1994年2月22日  

JR北海道根室本線 落合~新得駅間(現在は根室本線一部区間廃止により、石勝線 トマム~新得駅間)

1994年2月22日  

三陸鉄道南リアス線(現在は三陸鉄道リアス線) 小石浜(現在は恋し浜に改称)~甫嶺駅間

1997年6月29日

JR西日本湖西線 比良駅構内(脱線はJR貨物の車両)

1998年3月19日

JR九州筑肥線 今宿駅構内

注目すべきは事故の発生した日付です。これらは決して作為的に抽出したわけではありませんが、強風による事故の多くは12月から3月の冬から春にかけての時期に集中しています。

果たして、なぜこれほどまでに強風による脱線事故は特定の時期に集中するのでしょうか。そこには、日本の冬が持つ特有の気象メカニズムが深く関わっています。

「突風」を引き起こした冬の気象メカニズム

重さ数トンもある鉄道車両が脱線するほどの激しい風。その原因は、冬の強い季節風にあります。季節風が発生するメカニズムは、温度と気圧が関係しています。

一般的に陸は温度変化しやすく、海は温度変化しにくいという特徴があります。そのため冬になると、大陸では冷たく重い空気が下に降りてきます。一方、海に囲まれた日本付近は比較的暖かいままです。

この温度差が空気の動きを変え、大陸と海洋の間に気圧差を生みます。大陸では空気が下に降りるため気圧が高くなり、比較的暖かい日本付近では温められた空気が上昇して気圧が低くなるのです。

冬の季節風が生じるメカニズム

空気は気圧が高いところから低いところへ流れる性質があるため、大陸から日本に向かって強い季節風が吹きます。特に「西高東低」と呼ばれる冬型の気圧配置では気圧の差がさらに大きくなり、風もいっそう強まります。

この季節風によって大陸から冷たい空気が流れ込むため、大気の状態が不安定になります。その結果、日本海側を中心に雷や突風が発生しやすくなるのです。

このようなメカニズムによって、冬は荒れた天気になりやすくなります。さらに、大陸からの強い季節風が日本海を通過する際に海面から水分を多く含み、雲を発生させ、この雲が日本の山地にぶつかることで、日本海側では大雪になることがあります。

季節風の影響は日本海側にとどまりません。山地を越えた太平洋側では、乾燥した風が強く吹くこともあります。

日本海側で大雪が降るメカニズム(気象庁コラム「冬の北海道で大雪となる3つのパターン」より)

突風だけではない冬の荒天時のリスク

こうした冬の気象条件は、交通機関だけでなく、社会インフラの生命線である「電力」も直撃します。

JR羽越本線の事故が起きるわずか3日前には、新潟県では大規模な停電が発生していました。

暴風雪によって塩分を含んだ重い雪が送電線に付着し、絶縁機能が低下。さらに、秒速25メートルを超える暴風によって着雪した電線が激しく揺れ、電線同士が接触してショートする「ギャロッピング現象」が引き起こされたのです。

電力中央研究所様が公開しているギャロッピング現象の様子を収めた動画

この事象により新潟市をはじめとする新潟県下越地方で最大65万軒が停電し、復旧まで7時間を要しました。また、同日には福井県内でもギャロッピング現象や鉄塔の損傷で停電が発生しています。

このように、冬の荒天は交通や電気といった社会インフラに影響を及ぼし、企業の経営や従業員の安全に影響を与える可能性があるのです。

冬の荒天に対し「先手」を打つために使える情報とは

冬の荒天リスクに対して、企業はどのように備えるべきでしょうか。重要なのは、気象庁が防災のために事前に発表する情報を、自社の対策と結びつけることです。

例えば、5日後までに警報級の現象が予想される際に発表される「早期注意情報」は、物流ルートの代替検討や人員配置の調整を開始するための、極めて重要な先行シグナルとなります。さらに、荒天が予想される際に発表される「全般気象情報」や「府県気象情報」は、事前の備えや初動態勢へと移行する「行動のトリガー」として活用すべき情報です。

▼ 「早期注意情報」とはどういう情報?という疑問にお答えします

また、意外に見落としがちなのが注意報です。大雪や強風だけでなく、「着氷注意報」「着雪注意報」には特に警戒が必要です。これらは単なる降雪の予報ではなく、氷雪の付着により送電線の断線や設備の損傷リスクがある場合に発表されます。つまり、これらの注意報は施設内での停電や通信障害といったインフラリスクを警告するシグナルであり、停電や通信障害が発生する可能性に備えた行動のトリガーとなるのです。

こうした多様な気象情報を基準に、先手を打って従業員の安全やスムーズな事業継続を確保する判断を下すことこそが、真のリスク低減につながります。

近年の鉄道会社や道路管理者は、予測技術の向上により、早い段階で「計画運休」や「通行止め」の可能性を発表するようになりました。こうした交通機関の動向は、気象のプロが下した「危機感のレベル」を代弁しています。自社拠点に影響が出るのを待つのではなく、さまざまな情報を捉えることが、被害を最小限に抑える最大のポイントとなります。

▼ 冬の荒天時に出てくるワード「JPCZ」・「南岸低気圧」とは?

情報整理を効率化し、実効性の高い「次の一手」へ集中を

今回は20年前の痛ましい事故や大規模停電を例に挙げましたが、冬の荒天がもたらすリスクは、停電や道路の立ち往生、物流の停滞など、多岐にわたります。刻々と変わる気象やインフラの稼働状況を、24時間体制で複数の情報ソースを監視し続けることは、多くの企業にとって容易なことではありません。

こうしたリスクに対応するための情報は、気象庁の発表だけでなく、インフラ企業のwebページや報道、SNSなど、あらゆるチャネルから発表されています。しかし、情報に求められるのは「量」だけではありません。特に災害時には多くの情報の中から「必要な情報」を見落とさず、確実に受け取れることが重要です。

▼ 災害時に「使える」情報収集はできていますか?

氾濫する情報の中から企業やエンドユーザーに直結するリスク情報だけを確実かつ迅速に受け取ることが可能になれば、企業の防災・BCP担当者様は冬の荒天に対する「実効性の高い一歩先のアクション」に集中できるようになります。

そこでおすすめしたいのが、レスキューナウのサービスです。弊社では24時間365日体制の「危機管理情報センター(RIC24)」を運営し、専門スタッフが常駐して危機につながりうる国内外の膨大な情報を監視しています。

危機管理情報センターから配信された情報はメディア・サイネージ向けの「コンテンツシェアサービス」と企業防災・BCP向けの「危機管理サービス」の形で多くの企業様にご利用いただいています。

最先端の技術と人の目による監視で、私たちは情報の力で皆様の事業を支えるお手伝いを続けています。複雑化する冬の気象リスクに対し、私たちの提供する情報をご活用いただくことで、皆様の円滑な事業運営の一助となれば幸いです。

監修:レスキューナウ危機管理情報センター
監修:レスキューナウ危機管理情報センター
レスキューナウが運営する危機管理情報の専門組織。東京と大阪の2拠点で、専門スタッフが24時間365日有人体制で国内外のリスクを監視している。平時でも1日に600以上の公式サイトを延べ10万回以上確認し、情報の事実確認を徹底。必要に応じて電話取材も行う。収集・検証された情報は、独自の基準で均質なデータに加工・整理。創業から蓄積された体制・人材・設備・ノウハウを基に、お客様に正確な情報をお届けすることを大きな強みとしている。

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