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ゼロから分かる「企業防災」~メリットから具体的なアクションまで~

こんにちは。レスキューナウです。

近年、自然災害や感染症の拡大など、企業を取り巻くリスクは多様化・甚大化しています。もしもの時、従業員の安全を守り、事業を止めないために、「企業防災」への取り組みが不可欠です。

企業防災とは、単に災害による被害を未然に防いだり、最小限に抑えたりする「防災・減災」の取り組みだけを指すのではありません。

また、「我が社は大丈夫」「まだ先のこと」と考えていませんでしょうか。 備えがなければ、ある日突然、大きな損害に見舞われかねません。

本記事では、貴社が企業防災の第一歩を踏み出すために、その必要性やメリット、具体的な取り組み内容、そして何から始めるべきかについて詳しく解説します。


この記事の目次[非表示]

  1. 1.企業防災の対象とは?
  2. 2.企業防災に取り組む意義と必要性
    1. 2.1.法的義務としての企業防災
    2. 2.2.企業防災を行うメリット
  3. 3.企業防災を怠るリスク
  4. 4.企業防災の具体的な取り組み
    1. 4.1.災害発生時の対応から平時の備えを考える
    2. 4.2.リスクの把握と避難経路の確保・周知
    3. 4.3.防災訓練の実施
    4. 4.4.非常用備蓄の確保や物理的なリスク対策
    5. 4.5.安否確認の方法を検討する
    6. 4.6.確実な情報収集の方法を検討する
    7. 4.7.事業継続性を担保するための拠点確保や計画策定を行う
  5. 5.企業防災、まず何から始めるべきか
  6. 6.企業防災でお困りの際はレスキューナウにご相談を!


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企業防災の対象とは?

企業防災が対象とするのは、災害などの緊急事態が発生した際に、まず守るべき従業員とその家族はもちろんのこと、貴社の事業継続に不可欠な設備、在庫、情報システムなど、企業活動を支えるあらゆる経営資源です。

食料や水をはじめとした防災備蓄品、建物の耐震補強といった物理的な対策はもちろん重要ですが、それだけでは十分ではありません。従業員の安否確認や、事業継続に向けた情報収集、代替拠点確保など、行うことは多岐に渡ります



企業防災に取り組む意義と必要性

では、なぜ企業は防災に取り組む必要があるのでしょうか。防災は「コストがかかる」、「通常業務で手一杯」と中々手をつけづらいかもしれません。一方で、企業防災は法的な「義務」としての側面と、企業経営における「メリット」としての側面の二つがあり、リスク管理であると同時に、未来への投資という面も持っています。


法的義務としての企業防災

まず義務的側面として、企業は法律によって一定の災害対策を講じることが求められています。建築基準法や消防法は施設に対する最低限の防災を規定しています。

また、労働契約法第5条では、企業が従業員の生命や身体等の安全を確保しつつ労働できるよう、必要な配慮をする「安全配慮義務」が定められています。この安全配慮義務は、労働災害防止や健康管理の文脈で語られることが多いですが、自然災害から従業員の安全を守るための災害対策も、この義務の一部と解釈できます。

▼災害と「安全配慮義務」に関しての詳細はこちら

  災害発生後の対応で「安全配慮義務」を問われることがある? | 株式会社レスキューナウ 株式会社レスキューナウ


加えて、地方自治体の条例によって、特定の災害対策が義務付けられている場合もあります。例えば、東京都の「帰宅困難者対策条例」では、以下のように定められています。

第二章 一斉帰宅抑制に係る施策の推進 (従業者の一斉帰宅抑制)

第七条
事業者は、大規模災害の発生時において、管理する事業所その他の施設及び設備の安全性並びに周辺の状況を確認の上、従業者に対する当該施設内での待機の指示その他の必要な措 置を講じることにより、従業者が一斉に帰宅することの抑制に努めなければならない。
2 事業者は、前項に規定する従業者の施設内での待機を維持するために、知事が別に定めるところ により、従業者の三日分の飲料水、食糧その他災害時における必要な物資を備蓄するよう努めなければならない。
 
(東京都「帰宅困難者対策条例」より)

特徴的なのは、従業員を事業所内に留まらせるための3日分の飲料水や食料などの備蓄を努力義務としている点です。これは発災後一斉に帰宅しようとすることで起こる交通麻痺や緊急車両の通行阻害を防ぐために定められています。

  帰宅困難者対策ハンドブック 各事業所での帰宅困難者対策を進める上で参考となるよう作成しました。 東京都防災ホームページ


企業防災を行うメリット

企業防災は、単なる義務やコストばかりではありません。むしろ、将来への投資であり、企業経営にメリットをもたらします。

まずメリットとしてあげられるのは、安定した事業継続とそれに伴う信頼です。

防災・減災対応によって被害を最小限に抑えることで、事業の中断期間を短縮することは、安定した事業継続につながります。

そして、災害時にも事業を継続できる、あるいは早期に復旧できる企業は、「あの会社であれば、いざという時も安心」 という印象を持たせることができます。すると、取引先からの信頼を高めるだけでなく、競争力も高める大きな武器となります。

また、従業員の安全確保に積極的に取り組む姿勢は、「従業員を大切にする企業」として従業員の安心感や信頼感にも繋がります。


防災



企業防災を怠るリスク

もし、企業防災への取り組みを怠った場合、どのようなリスクが生じるのでしょうか。

まず、安全配慮義務違反などを理由に従業員やその家族から訴訟を起こされるリスクがあります。また、自社の被災が原因で、周辺地域へ延焼したり、有害物質が流出したりするなど、二次災害の発生源となり、地域社会に深刻な影響を与えてしまう可能性も否定できません。

さらに、十分な備えがなければ、災害からの復旧が長期化し、その間に企業の経営体力は著しく低下します。最悪の場合、事業の継続が困難になり、長年かけて築き上げてきた企業の事業や信用が、倒産によって一瞬にして失われるケースもあります。



企業防災の具体的な取り組み

では、企業防災はどのように取り組むべきなのでしょうか。それは「災害発生時」を想定して、「平時」の備えをできるところから行うということが大切です。

災害はいつ発生するかわかりません。だからこそ、「いつかやろう」ではなく「今すぐ」、平時のうちに計画的に準備を進めることが重要です。


災害発生時の対応から平時の備えを考える

備えを考えるには、災害発生時にどういった行動・情報が必要になるのか考え、逆算することが有効です。

特に災害発生時やその直後には、迅速かつ的確な対応が求められます。具体的には、従業員の安全確保を最優先とし、安否確認を迅速に行います。同時に、火災や建物の倒壊といった二次災害の発生防止にも努めなければなりません。刻々と変化する周辺地域の状況や社会情勢に関する情報収集も不可欠です。

▼災害時における情報収集の必要性について詳しく解説しています

  「災害情報を収集する必要性とは?」 資料ダウンロード 企業の防災・BCP担当者必見!災害時の初動対応のスピードアップを実現する方法をご紹介します。 株式会社レスキューナウ


そして、自社の被災状況を把握した上で、どの事業活動を停止し、どの活動を継続・再開するのか、事業継続に関する意思決定を行い、復旧活動の優先順位を付けて実行に移す必要があります。こういった流れを確実に「いざという時」に実行できる備えをしていきます。

そのためには、平時からの周到な準備が欠かせません。では、具体的にどのような備えが必要なのか、項目分けをして紹介していきます。


リスクの把握と避難経路の確保・周知

はじめのステップとして推奨されるのは、自社のオフィスや工場が立地する場所、事業内容によって、どのようなリスク(地震、水害、土砂災害など)にさらされているのか、ハザードマップなどを活用して具体的に整理・把握することです。自社の弱点を知ることが、効果的な対策の第一歩です。

続いて、リスクを把握することで、安全な避難ルートを策定し、全従業員に周知します。


▼ハザードマップを使ったリスク把握の方法についてはこちら

  ハザードマップによる企業の災害対策 ハザードマップは拠点単位でリスクを特定し、事前対策をするのに有効です。しかし、ある理由で色が塗られていなかったり、水防法で追加された対象河川がまだ未反映だったりします。そこで、企業がハザードマップを目安に行うべき災害対策をまとめました。 株式会社レスキューナウ


防災訓練の実施

従業員一人ひとりがパニックにならず、冷静に身を守り、互いに助け合えるようには、単なる「訓練のための訓練」ではなく、災害時に自らの命を守り、互いに助け合うための知識と行動を身につける実践的な防災訓練を定期的に実施することが不可欠です。これはまさに防災教育とも言えます。また緊急連絡先、いざというときの行動などを記した「防災カード」の携帯も有効です。こうした取り組みを通じて、従業員一人ひとりの防災意識を高めることが、組織全体の防災力向上につながります。


▼実践的な防災訓練をDVDとキットのセットレンタルで行うことができます

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▼防災カードの制作についてはこちら

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非常用備蓄の確保や物理的なリスク対策

非常用の飲料水、食料、医薬品などの備蓄は十分に準備することがまず重要です。先に挙げた東京都の帰宅困難者条例では3日間を努力義務としています。

また、東京都以外でも、従業員の安全確保と帰宅・避難までの日数を概ね予測して数日分の備蓄は用意しておくことが大切です。また、備蓄は「買って終わり」ではありません。定期的に内容を確認し、消費期限切れや不足がないように補充・管理することも大切です。

避難経路の確保や備蓄の確保により、従業員の安全をある程度確保できるようになったら、続いてハード的な備えをします。例えばオフィス内の什器の固定や、水害リスクのある場所での重要書類や設備の高所への移設、土のうの準備など、リスク箇所に応じた物理的な対策も重要です。


▼レスキューナウでは防災備蓄品も扱っています

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安否確認の方法を検討する

従業員や業務継続に必要な機器の最低限の備えが完了したら、次は確実な情報収集源の確保が重要となります。そして、収集すべき情報の中でも、最も優先度が高いのは従業員の安否情報です。従業員の無事が確認できなければ、事業継続に向けた方向性を決めることは困難といえます。

いざという時に『どうしよう?』と迷わないために、平時の備えとして、「震度〇以上」、「△市内で避難指示が発令」など、どういった状態になったら安否確認を行うのか、具体的なルール、そして担当者を事前に明確に決めておきましょう。

次に、安否確認の方法を検討します。これは、企業の従業員数や事業所の所在地などによって最適な手段が異なります。

普段から活用しているビジネスチャットツールで連絡を取り合う体制で十分な場合もあります。特に、従業員数が比較的少なく、事業所が一箇所に集中している企業では有効な手段となり得ます。

一方で、事業所が各地に点在している場合や、従業員数が多い場合は、安否確認専用システムの導入が効果的です。これらのシステムには、災害時に自動で安否確認通知を送信する「自動起動機能」や、回答結果を自動で集計する「自動集計機能」などが備わっているものもあり、迅速かつ効率的な安否確認を実現できます。

いずれにしても、自社の状況に合わせて、平常時から利用しているツールを活用するのか、専用システムを導入するのかを検討し、いざという時に確実に機能する安否確認体制を構築しておくことが大切です。


▼安否確認システムの効果的な運用方法はこちら

  「安否確認システムのよくあるお悩み -運用編-」 資料ダウンロード 安否確認システムを導入している企業必見!多くの企業が悩まれている部分について、当社ユーザーの事例なども紹介しながらご紹介します。 株式会社レスキューナウ


確実な情報収集の方法を検討する

災害発生時に経営層や担当者が迅速で的確な判断を下すには、安否確認だけではなく、拠点の情報や、周辺の状況など信頼性と正確性が担保された情報がある程度揃っていることが不可欠です。そのため、信頼できる情報収集手段やノウハウを平時から確保・蓄積しておくことも大切です。

例えば災害時に閲覧するwebサイトの一覧をブックマークに保存しておく、無料の防災アプリをインストールしておくというのもよいでしょう。

一方で、災害の危険性をいち早く知る、また災害発生時の膨大な情報量を整理するというのは人の目や無料の防災アプリではなかなか手が届かないところもあります。その場合、専用の情報収集ツールの導入も有効な手段となります。


▼弊社の提供する情報収集ソリューションのひとつ「レスキューWeb MAP」はこちら

  レスキューWeb MAP | 株式会社レスキューナウ レスキューWeb MAPは、災害時における「災害・危機情報」を集約・見える化するサービスです。発生した災害や危機が自社に影響するのか、一目で分かります。ごく僅かな時間で、発生エリアと自社関係先を突き合わせ、対象の抽出が可能です。 株式会社レスキューナウ



事業継続性を担保するための拠点確保や計画策定を行う

従業員の安全が確認され、状況がある程度見えてきたら、次はいよいよ『事業をいかに継続的に動かすか』です。安否をはじめとした必要な情報が集まったら、事業復旧・継続に向けてどのようなアクションを起こすか決定する必要があります。

その際に、本社や主要拠点が被災した場合代替となる事業拠点確保やテレワークへの移行体制の整備、生産体制の計画、サプライチェーンの確保を行っていると、速やかな事業復旧・継続につながります。

また、情報システムについては、データのクラウド化やサーバーの分散化により、データ消失やシステム停止のリスクを低減できます。

そして、リスク評価から安否確認・情報収集、事業継続に向けた取り組みまでを体系的にまとめ、いざという時の行動指針となる災害対策マニュアルや事業継続計画(BCP)、防災計画といったものを策定し、定期的に見直しを行うことができると、十分な企業防災ができているといえるでしょう。


▼改めてBCPについておさらいしたい方はこちら

  BCP(事業継続計画)とは?|目的やメリット、策定手順を解説 BCPとは事業継続計画のことであり、自然災害や事故、事件、感染症の流行等のあらゆる緊急事態に対して、事業活動を継続させるための戦略的指針であり、企業や組織の命運を分ける重要な要素の一つです。 本記事ではそんなBCPについて、策定するメリットや具体的な策定方法をポイント・注意点を踏まえてご紹介します。 株式会社レスキューナウ



企業防災、まず何から始めるべきか

企業防災の具体的な取り組みを挙げてきましたが、何から始めるかは各企業によって異なります。防災備蓄品の確保から始める企業や安否確認のルールを決めるところから始める企業など、進め方は千差万別です。

ここまで読んで、『やるべきことが多すぎる…』と感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、最初から完璧を目指す必要はありません。まずは「できるところ」や「最も弱い(リスクの高い)ところ」から優先順位をつけて、着実に一歩ずつ進めていくことが重要です。

そして、企業防災の取り組みを進めていく上で重要なことは、経営層を含む多くの従業員が、企業防災を他人事ではなく「自分事」として捉える意識です。防災訓練を実施したり、防災カードといったツールを通じて、個々の防災・減災力を上げ、従業員の多くが防災に対する意識を持つことで、より「災害に強い」企業作りにつながっていきます。



▼困難をしなやかに乗り越える力「レジリエンス」を企業が高めるために実施することとは

  「レジリエンスを高める」ためには 企業があらゆるリスクに負けないために実施すべきことを紹介しています。 株式会社レスキューナウ



企業防災でお困りの際はレスキューナウにご相談を!

企業防災は、単なる義務や負担ではなく、企業の持続可能な成長を支える重要な経営戦略です。災害リスクを理解し、適切な対策を講じることで、企業は従業員の安全を確保するだけでなく、事業の継続性を高め、社会的信頼を獲得できるというメリットがあります。

一方で、企業防災は一朝一夕に完成するものではありません。できるところから、弱いところから順番に対策を進め、継続的に改善していくことが重要です。

まずは今日から、改めて企業防災を『自分事』として捉え、もし担当者が明確でなければ担当者を決め、自社のリスクを具体的に見直すことから始めてみませんか?

その際、「具体的に何から始めれば…」「自社に最適な対策が分からない」「まずは防災訓練だけでもなんとかしたい」など、企業防災の推進でお困りの際は、ぜひ私たちレスキューナウにご相談ください。

レスキューナウでは、本記事で挙げてきた企業防災の取り組みの多くに対するソリューションを持っており、経験豊富な担当者が親身になってお客様の状況や課題に合わせた実効性のあるソリューションを提案させていただきます。


▼課題相談窓口はこちら

  防災・BCP課題相談窓口 貴社の課題感をお伺いし、最適なサービス・事例などをご案内します。課題解決に繋がる情報をお探しのお客様は、お気軽にご相談ください。 株式会社レスキューナウ


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皆様の災害対応・危機管理に関する課題解決のサポートをしています。

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